ビジネスシーンにおいて「従業員の目標設定」は欠かせません。
介護職にとっても目標設定は必要です。とはいえ、どのように目標を設定したらよいかと悩む担当者は多いでしょう。そこで当記事では、介護職の目標設定に焦点をあてたうえで、新人・中堅・ベテラン別の目標設定例を紹介します。
運用のコツも紹介するので、目標設定をスムーズにすすめたい方は必見です。
介護職で目標設定が必要な理由とは?
なぜ、介護職でも目標設定が必要なのでしょうか?
主な理由は以下の通りです。
日々の業務に定性的な要素が多い
介護職は、営業のように「売上を伸ばし、会社の業績アップを目指す」ような仕事ではありません。
必要とされるのは、高齢者の尊厳を大切にしつつ、利用者の能力に応じて生活をサポートすることです。つまり、思いやり・観察力・前向きな取り組みなどが評価されます。
営業職の場合には売上や受注率といった数値での評価が可能なものの、介護職における日々の頑張りは、基本的に「定性的な要素」で判断します。定性的な要素は評価者によって判断が異なるため、明確な目標設定が必要です。
スキルアップが実現する
スタッフのキャリアに合わせた目標を設定し、目的達成に向けた行動を促進すれば、段階に応じて必要なスキルを習得できます。つまり、目標設定によって着実なスキルアップが実現するといえます。
スキルアップした従業員がそろえば、質のよいサービスを提供できるため、利用者の満足度を高められます。利用者の満足度が高まれば「よい口コミ」や「事業所のイメージアップ」につながり、業績の向上も期待できるでしょう。
公平な評価結果を導ける
目標設定をしないで評価を実施すると、判断する軸がない状態であるため、評価結果は担当者の主観に左右されがちです。人によって評価結果が異なる事態は、従業員に不満を抱えさせてしまいます。不満な状態で業務を行なえば、生産性ダウンはもとより、最悪の場合には離職という結果につながってしまうでしょう。
一方で目標設定を行なえば、明確な基準をもとに評価を実施するので「誰が評価しても公平な内容」を導けます。
モチベーションアップにつながる
従業員に合った目標を設定し、達成度によって公平な評価を導びければ、従業員の評価に対する納得度を高められます。
自身の頑張りをしっかりと評価してくれる事業体制は、エンゲージメントアップはもちろんのこと、日々の業務に対するモチベーションアップにもつながるでしょう。
また目標設定は、将来をあらためて見直すきっかけになります。現在から将来まで、点と点をつなげて「未来を想像できる状態」は安心感をもたらします。
介護職の目標設定におけるポイント
従業員の目標設定をする際には、ポイントを押さえることが大切です。ここでは、介護職の目標設定におけるポイントを紹介します。
達成期限を設ける
なにごとも、期限を設けないと後回しにしがちです。目標設定においても同様であり、目標達成に向けた「達成期限」の設置は欠かせません。
達成期限を設ける際には、最終目標はもちろんのこと、目標達成に必要な各プロセスにおける期限も設定します。
達成可能な内容を設定する
到底達成できないような目標を掲げると、大半の人は行動する気力すら起きないでしょう。なぜなら、「行動しても無理だ」と感じ、どこか他人事のように思うからです。
目標設定の際には、従業員のキャリアや理想に見合った内容にし、「少し頑張れば達成できるかもしれない」といった目標を設定します。
誰が見ても同じ認識をもてる
設定する目標は、「誰が見ても同じ認識をもてる内容」にしましょう。
なぜなら、認識相違が生じる目標は「評価する人によって解釈」がかわるため、異なった評価結果を導いてしまうからです。
誰が見ても同じ認識をもたせるには、抽象的ではなく具体的な表現をするのはもとより、数値の活用も大切です。
【具体例】介護職の目標設定
つづいて、介護職の目標設定における具体例を紹介します。
各スタッフの目標設定をする際には、事業所全体のKPIを踏まえ、各自のKGIを立てたうえでKPIをつくる流れが一般的です。
上記の流れを踏まえたうえで、新人・中堅・ベテランごとに目標設定例を紹介するので、それぞれ参考にしてください。
(※以下の例では、事業所全体のKPIを「スタッフの離職率を前年より10%ダウンする」と掲げていた場合を想定しています。)
ケース1:新人(入社から2年目)
入社から2年目までの新人スタッフには、基本的な業務に慣れてもらったうえで、社会人としてのルールやマナーを身につけてもらいます。新人時代に基礎が習得できるか否かで、中堅スタッフ・ベテランスタッフになった際の生産性もかわってくるでしょう。
基礎的なことの習得で自信をもたせれば、日々のやる気につながるため、早い段階での離職を防げるでしょう。
【目標設定(例)】
~知識・技術~ ・入社3か月以内に、利用者の顔・名前・持病を把握する ・入社半年以内に、食事・排泄・バイタルの記録が書けるようになる ・入社1年目から2年目の間に「介護職員初任者研修」の資格を取得するbr・毎月開催される「新人研修」に参加する |
~コミュニケーション~ ・1日に最低1回、利用者に対して自ら声掛けを行なう ・出勤日の最後に、上司に対して「本日の業務内容・報告すべきこと」を連携する |
ケース2:中堅(入社3年目から7年目)
入社3年目から7年目ほどの中堅スタッフは、基本的な知識やスキルが身についていることが大前提です。より専門的な知識やスキルを習得してもらい、後輩へのマネジメントやリーダーとしての動きができるよう意識させましょう。
「スキルアップの実現」および「責任ある仕事を任せる」ことで、モチベーションアップが実現し、定着率向上に役立ちます。
【目標設定(例)】
~知識・技術~ ・利用者の家族からの質問に対し、イレギュラーな内容以外は1人で回答できる ・入社4年目までに、介護計画書を書けるようになる ・入社5年目までに「社会福祉士」の資格を取得する ・入社6年目までに「新人研修」の講師を経験する |
~コミュニケーション~ ・四半期ごとに、後輩の目標設定をサポートする ・他スタッフに報告すべき内容を、業務終了後に日報として残す ・1日に最低2回、後輩に対して自ら声掛けを行なう |
ケース3:ベテラン(入社8年目以上)
入社8年目以上であれば、完全にベテランだといえます。専門的な知識やスキルの保持はもちろんのこと、業務全体を俯瞰的に見る力・後輩の育成・他の職種との円滑なコミュニケーションなどが求められます。
ホーム長や施設長になる人もいるため、経営や運営のスキルも意識するとよいでしょう。
部下や後輩を管理する立場になると、上に立つものとしてのストレスが増えるため、定期的に状況確認をすることが大切です。適宜においてベテラン層もケアできれば、定着率アップにつながります。
【目標設定(例)】
~知識・技術~ ・利用者の家族からの質問に対し、イレギュラーな内容も1人で回答できる ・災害・防災研修に参加し、スタッフを集めて危機管理研修を実施する ・入社8年目までに「ケアマネージャー」の資格を取得する ・事業所の経営状況を知り、具体的な改善案を提案できる |
~コミュニケーション~ ・年に2回、自治会や地域を絡めたコミュニケーションイベントを開催する ・外部で開催するマネジメント研修に、半年に1回ペースで参加する ・1日に最低2回、部下の業務状況をチェックすべく、声掛けを行なう |
目標設定後の運用ポイント
ここでは、目標設定後の運用ポイントを紹介します。
以下の点に注意しながら、運用を行なうとよいでしょう。
定期的な状況確認
運用を開始したら、定期的な状況確認が必要です。
なぜなら、「目標達成に向けた道」からそれていると、なかなか目標が達成できないからです。定期的に進捗状況を確認することで、各自に適したアドバイスができますし、抱えている悩みにも気づけるでしょう。
状況を確認する際には、毎週や毎月など、決められたスパンでの確認がオススメです。
目標達成をノルマにしない
目標設定後は、「目標達成」に向けて行動します。
しかし、目標達成をノルマにすることは危険です。なぜなら、とにかくノルマをこなそうと必死になり「本来の業務がおろそかになる」といった弊害が生じる可能性もあるからです。
とくに、「思いやり」や「気遣い」といった介護職に必要な要素がおろそかになるようでは、本末転倒だといえます。
ノルマを達成できなくとも厳しい対応はせず、達成に向けたよい方法を一緒にみつける姿勢が大切です。
まとめ:適切な目標設定で、介護職のモチベーションを上げよう
定性的な内容が多い介護職であっても「適切な目標」を設定すれば、モチベーションアップが期待できます。目標設定の際には、最終目標(=KGI)はもちろんのこと、プロセスごとの目標(=KPI)も定めることが大切です。
正しく目標設定をし、適切な評価を実現したい場合には、最終目標(=KGI)とプロセスごとの目標(=KPI)についての理解が欠かせません。
KGIとKPIへの知識を深め、介護職に対する「適切な目標設定」や「納得度の高い評価」を行ないたい場合には、シーグリーンの「スマイル評価シリーズ」をぜひご検討ください。
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