給料と社員のモチベーションは関係する?仕組みと効果的な方法を解説

「給料を高くしても、社員のモチベーションが上がらない」という悩みは、多くの企業担当者が直面する悩みだといえます。給与と社員のモチベーションには、確かな関係性があるものの、効果を最大化するには「適切なアプローチ」が不可欠です。

そこで当記事では、給料と社員のモチベーションの関係性を解説し、効果的な方法も紹介します。単なる給与アップをこえた「持続可能なモチベーション向上策」を探る場合には、ぜひ当記事を参考にしてください。

給与の仕組みとは?

給与の仕組みは、「企業活動の循環」を反映しており、基本的な流れは以下の通りです。

  • 1. お客様にサービスを提供(価値創造の核心)
  • 2. 提供したサービスに対し、お客様から対価をいただく(企業の収入源)
  • 3. 得られた収益から経費を差し引き、利益の一部を給与として支給

上述の循環により、従業員の努力が企業の収益を生み、収益が社員に還元される仕組みが成立します。給与は単なる報酬ではなく、企業と社員における「相互の価値創造」の結果だといえます。

【従業員】給与支給のよくある勘違い

給与支給に関する従業員の認識相違は、モチベーションに影響を与えます。多くの従業員は「給与支給→仕事→対価」と考えがちですが、正しくは「仕事→対価→給与支給」です。この誤解が、給料アップ時にモチベーションが上がらない原因となっています。従業員には「仕事の対価として給与が支給される」という正しい理解が重要です。

また、給与支給のよくある勘違いについて、野球選手を例に挙げるとわかりやすいでしょう。野球選手は活躍すると年俸が上がるため、年俸(給与)を上げたい場合には、活躍しなくてはなりません。年俸を上げたから、活躍するとは言えないでしょう。

給料とモチベーションの関係性とは?

ここでは、給料とモチベーションの関係性について解説します。関係性を適切に理解し、然るべき対応が取れれば、給与アップによるモチベーション向上も期待できるでしょう。しかし、給料とモチベーションの関係性は複雑であり、非金銭的な部分も加味する必要があります。

給料とモチベーションの関係性は複雑な部分がある

給料とモチベーションの関係は、給料を上げれば社員のモチベーションが向上するという、単純な図式ではありません。給料が上がらない背景には、「企業の業績不振」「個人の成果不足」「市場の動向」など、さまざまな要因が絡み合います。

しかし、複雑な要因を理解せず「給料のみ」に焦点を当てると、従業員の不満が高まる可能性も高くなります。重要なのは、給与体系の透明性を高め、従業員と企業が給与に関する共通認識を持つことです。

非金銭的なモチベーション要因も考慮

給料だけでなく、非金銭的な要因もモチベーションに大きく影響します。

たとえば「仕事の達成感」や「成長の機会」は、個人の自己実現欲求を満たすことから、長期的な職務満足度を高めるでしょう。また良好な職場の人間関係は、帰属意識を強めてチームワークを向上させると同時に、各自のやる気アップにも寄与します。

ワークライフバランスが実現できる環境も、従業員の「生活の質」を向上させ、仕事への集中力を高めるでしょう。

給料を上げられない状況と対策

従業員に対し給料をアップさせたくても、上げられない状況も見受けられます。ここでは、給料を上げられない3つの状況を踏まえ、従業員のモチベーションを維持すべく、企業ができる対策について紹介します。

ケース1:個人の成果が思わしくない

個人の成果が思わしくない場合、対象の従業員への給与アップは難しいでしょう。一方で、キャリア開発の機会を提供できれば、給与アップができない状況でも、モチベーションアップが期待できます。

具体的には、「スキルアップに向けた研修プログラムの提供」「メンタリング制度の導入」「新プロジェクトへの参加機会を提供」などが考えられます。同時に、定期的なフィードバックで目標設定と進捗確認を行いつつ、成果向上への道筋を明確にすることも重要です。

ケース2:市場の動向が影響

市場の動向により給与アップが難しい状況では、従業員の理解を得つつ、職場環境の改善に注力する姿勢が大切です。まずは、市場状況と企業の方針を説明し、従業員との信頼関係を築くことから始めるとよいでしょう。

そのうえで、「柔軟な勤務形態の導入」「オフィス環境の整備」「福利厚生の充実」など、金銭以外の面で従業員満足度アップにつながる施策を実施します。「リモートワークの拡大」「休暇制度の見直し」「社内コミュニケーション活性化」などもよいでしょう。

ケース3:会社の業績が上がらない

会社の業績がおもわしくない場合、非金銭的な報酬でのモチベーション維持が重要です。たとえば、「柔軟な勤務時間」「スキルアップの機会提供」などが挙げられます。

また、非金銭的報酬を適切に機能させるには、公平で透明性の高い人事評価制度が不可欠です。明確な評価基準と、定期的なフィードバックにより、従業員は自身の貢献が正当に評価されていると感じるでしょう。

適切な評価制度は、従業員の努力と成果を可視化し、業績回復への意欲を高めることに役だちます。次項では、この人事評価制度について、さらに詳しく見ていきます。

効果的な人事評価制度の重要性

効果的な人事評価制度は、金銭的・非金銭的な要因を適切にバランスさせ、従業員のモチベーションを高める役割があります。適切な人事評価制度を用意できていれば、給与アップができない場合にも、従業員のモチベーションを実現しやすいでしょう。効果的な人事評価制度は、以下のような重要性も持ちます。

給与に関する公平性・透明性の担保

効果的な人事評価制度の核心は、給与に関する公平性と透明性の確保にあります。明確で一貫した評価基準を設け、全従業員に周知することが重要です。基準には、「業績指標」「スキルレベル」「職責の重さ」などを含め、客観的に測定可能な要素を組み込むとよいでしょう。

評価プロセスの透明性も重要であり、「定期的な評価面談」「自己評価の機会」「上司からのフィードバック」など、多角的な視点を取り入れることで評価結果の信頼性が高まります。

従業員の成長と企業の発展

効果的な人事評価制度は、単なる給与決定のツールではなく、従業員の成長と企業の発展を促進する重要な仕組みです。明確な評価基準と定期的なフィードバックにより、自身の強みと改善点を把握し、キャリア目標に向けて努力する動機づけとなります。

また、会社への貢献を適切に評価することで、金銭的報酬に頼らずともモチベーションを高めるきっかけになり得るでしょう。たとえば、「新たな責任の付与」「プロジェクトリーダーへの抜擢」「社内表彰制度」などが挙げられます。

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効果的な人事評価制度を設けるポイント

効果的な人事評価制度を設けるには、ポイントを押さえることが大切です。以下3つの点に留意しつつ、人事評価制度を設置するとよいでしょう

従業員の満足度向上ができる仕組み

効果的な人事評価制度には、従業員の満足度を高め、モチベーションを向上させる仕組みが不可欠です。まずは評価プロセスの透明性を確保し、自身の評価結果を理解・納得できるようにします。定期的なフィードバック面談を設け、対話する機会の設置も必要です。

評価結果に基づき、個人の成長を支援する施策(例:研修機会の提供、キャリアパスの明確化)を実施すれば、将来への期待感も高められるでしょう。優れた成果や努力を認める表彰制度の導入など、金銭以外の形での評価も効果的です。

客観的評価を行う

効果的な人事評価制度の要は、客観性の確保です。主観的要素を最小限に抑え、公平で信頼性の高い評価を実現すべく、明確な基準と適切な仕組みも不可欠だといえます。

具体例を挙げると、「数値化可能な業績指標の設定」「行動評価の具体的な基準の明文化」「複数評価者による360度評価の導入」などです。また評価者への教育を定期的に実施し、評価スキルの向上および評価基準の統一を図ることも重要です。

評価業務の効率化

人事評価業務は複雑で時間がかかるため、効率化は重要です。問題解決の鍵は、評価プロセスのシステム化にあります。

人事評価システムの導入によって、データ入力から集計、分析といった一連の作業を自動化できます。ミスの減少、処理時間の短縮、リアルタイムでのデータ更新も可能です。

またシステムの導入によって、人間の無意識なバイアスを排除し、より客観的な評価も可能になるでしょう。さらに、クラウドベースのシステムを利用すれば、場所や時間を問わず評価作業が実施できます。

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人事評価システム選びのポイント

効果的な人事評価システムを選ぶには、以下3つのポイントを押さえることが重要です。

【1、企業規模と目的に合った機能】

従業員数や評価制度に適したシステムを選択します。必要以上に複雑な機能は避け、目的に沿った機能を優先しましょう。

【2、使いやすさと導入のしやすさ】

直感的なユーザーインターフェースと、従業員全員が抵抗なく使えるシステムを推奨します。

【3、他システムとの連携性】

人事管理システムや給与システムなど、既存の社内システムと連携が容易なものを選択すると、データの一元管理や業務の効率化につながります。

上記のポイントを考慮し、トライアルや試用期間を活用して慎重に選定することで、自社に最適な人事評価システムを導入できるでしょう。

人事評価システム導入で実現する理想の組織

適切な人事評価システムの導入は、組織の理想的な姿を実現する鍵となります。公平で透明性の高い評価基準に基づく給与設定は、従業員の信頼を醸成し、モチベーション向上に大きく寄与します。

また金銭的報酬に限らず、成長の機会や達成感といった非金銭的要因も評価に組み込むことで、総合的な満足度を高められるでしょう。効果的な人事評価システムは、給料とモチベーションの好循環を生み出し、組織全体の発展を加速させる重要なツールとなり得ます。

自社に最適な人事評価システムを見つけよう

適切な人事評価システムの導入は、企業の成長と従業員のモチベーション向上に不可欠です。自社の文化や目標に合わせたシステムは、従業員と組織の相互発展を促進する強力なツールとなります。

また専門家のアドバイスを受けながら、最適なシステムを選定・導入することで、効果的な組織づくりが可能です。株式会社シーグリーンの「人事評価構築パッケージ」は、システムの策定から運用まで徹底的にサポートし、より効果的な組織づくりを支援します。人事評価システムのお試しも可能ですので、お気軽にご相談ください。

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この資料で分かること

  • 今、人事評価制度を作る必要性
  • 人事評価制度 タイプ別メリット・デメリット
  • 評価項目サンプル