少子高齢化による人手不足がつづき、多くの企業で「さまざまなステージにいる女性も大切な労働源」だと再認識しています。
こうしたなか、企業では「女性のワークライフバランスへの対応」が求められています。
しかしひとくちに女性といっても、結婚・子育て・介護など、背景にある要素によって、理想的な働き方は異なるでしょう。
当記事では、理想的な女性のワークライフバランスを考えるべく、企業の課題や対策法を解説します。
目次
理想的な女性のワークライフバランスとは?
理想的なワークライフバランスとは、男女問わず、仕事と仕事以外の時間が「本人が望むバランスでとれた状態」です。
そのため、年代・配偶者や子どもの有無・本人の価値観などによって、理想的なバランスは大きく異なります。
理想的な女性のワークライフバランスに配慮するには、さまざまな環境にいる女性を想定した対応が大切です。
企業が女性のワークライフバランスに配慮するメリット
企業が女性のワークライフバランスに配慮するメリットは、以下の通りです。
人手不足の緩和につながる
「正社員・フルタイム出社のみ」といったワークライフバランスに配慮していない企業では、しばしば女性が【仕事を続けられない問題】に直面します。
~仕事を続けられない例1~ 子どもを保育園に預けるAさん。子どもが発熱する度に、自宅保育を余儀なくされる。 (Aさんの本音:リモートワークが可能なら続けられるのに。) |
~仕事を続けられない例2~ 親の面倒を見るBさん。日中は施設に依頼し、夜はBさんが面倒を見ます。しかし会社の残業時間が増え、親の面倒が見られない状況です。 (Bさんの本音:残業が続けば、転職しないとダメだ。) |
企業がワークライフバランスに配慮しないと、女性の退職につながり、人手不足になりがちです。
一方ワークライフバランスに配慮すれば、さまざまな状況の女性が柔軟に働けるため、退職者の抑止に役立ちます。
定着率や生産性向上が期待できる
女性のワークライフバランスに配慮すれば、女性は「会社が自分達を大切に扱ってくれる」と思うため、モチベーションやエンゲージメントアップにつながります。
女性の定着率が高まれば、ベテランの女性従業員が活躍してくれるでしょう。
ベテラン女性従業員の活躍は、業務を円滑にすすめることにつながり、男性社員の目線で見てもメリットです。
女性の定着率が高まり、商品やサービスの安定的な供給につながれば、チームや会社全体の生産性向上も期待できます。
企業イメージの向上
女性のワークライフバランスに配慮すると、世間から「女性を大切にする会社」や「昨今の時代に合った会社」と思われるため、企業イメージの向上につながります。
とくにZ世代以降の若者は、ワークライフバランスを重視する傾向にあります。
そのため「女性のワークライフバランスへの配慮」は、若年層の女性求職者へのアピール材料になり、人材獲得にもつながるでしょう。
また実際に柔軟な働き方ができると、定着率アップが期待できます。
定着率がアップすれば、「働きやすい会社」という印象を持たれ、さらに企業イメージがアップします。
女性のワークライフバランス実現で抱える課題・ポイント
女性のワークライフバランス実現には、一定の課題があることも事実です。
ここでは抱える課題と、おさえるべきポイントを解説します。
ステージ・価値観によってワークライフバランスが異なる
女性は、人生のステージによって理想的なワークライフバランスが異なります。
~ステージの違い(例)~ ・独身女性 ・既婚女性 ・子どもがいる女性(子どもの年齢によっても状況が異なる) ・家族の介護が必要な女性 |
またひとくちに「独身女性」といっても、バリバリ仕事をしたい人もいれば、趣味に時間を費やしたい人もいるでしょう。
置かれた立場はもちろんのこと、価値観も考慮すれば、理想的なワークライフバランスは千差万別です。
企業は、こうした「ステージ・価値観によってワークライフバランスが異なる」ことを前提に動く必要があります。
各自に合ったキャリア形成をサポート
単純に、プライベートの時間も確保できるよう企業体制を整えても、モチベーションにつながらないことがあります。
モチベーションにつながらない仕事は、「お金のため」といった考えになりがちです。良い転職先を見つけたり嫌なことがあれば、すぐに辞めてしまいます。
モチベーションを高めるには、「仕事へのやりがい」を見出すことが大切です。やりがいを見出すには、女性従業員それぞれに合った「キャリア形成をサポート」できる環境が必要です。
男性社員への対応も考慮する
女性のワークライフバランスを実現するには、女性社員だけでなく、男性社員への対応も考えなければいけません。
女性が仕事外の時間を確保できても、男性が従来と同様に「長時間労働、オフィス勤務」を前提とした働き方しかできなければ、結局女性に「家事、育児、介護」といったしわ寄せがくるからです。
すると「プライベート時間」でストレスを発散できないため、仕事中もストレスを抱えたままになり、生産性低下につながります。
理想的な女性のワークライフバランス実現に向けた対策
つづいて、理想的な女性のワークライフバランス実現に向けた具体的な対策を紹介します。
柔軟な働き方を提供
女性は各ステージごとに「理想的なワークライフバランス」がかわるため、都度柔軟な働き方ができるよう整備しましょう。
~柔軟な働き方の提供(例)~ ・フレックス制度 ・時短制度 ・テレワーク導入 |
また柔軟な働き方を提供する際には、定時+オフィス勤務のように「従来通りの働き方」をする社員に、不利益が生じないよう配慮します。
さらに、男性社員に対しても「柔軟な働き方の重要さ」を理解してもらい、実際に行動に起こせる環境を整備しましょう。
たとえば佐川急便株式会社では、最初に男性管理職に対し「ワークライフバランス」に関する意識改革をすすめ、外部講師によるセミナーを実施しました。
同時に女性従業員向けの社内報を発行し、ワークライフバランス活動の取り組みを紹介し、浸透を試みます。
結果として女性社員の比率や、女性管理職の増加につながっています。
参考サイト:佐川急便株式会社
https://www.sagawa-exp.co.jp/sustainability/social/diversity.html
育児に関するサポート
子どもがいる女性にとって、「待機児童問題」や「小学生の学童保育難民」は悩みの種でしょう。
子どもを預けられないと、完全自宅保育または一部自宅保育になるため、仕事を辞めざるを得ないケースもあるからです。
企業が育児に関するサポートを実施すれば、安心して業務に専念できます。
~企業の育児サポート(例)~ ・企業内保育所の設置 ・提携の保育施設や学童と契約 |
たとえば三井不動産株式会社が運営する「三井アウトレットパーク木更津/倉敷/」「三井ショッピングパークららぽーと名古屋みなとアクルス」では、商業施設の近くに保育園を併設しています。
そのため「出産を機に退職する従業員」や「保育園不足で復帰困難な従業員」の離職問題解消につながっています。
参考サイト:三井不動産株式会社
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2019/0529_01/
積極的なDX化
業務をDX化すれば、業務効率化により残業時間の削減ができ、ワークライフバランスの実現につながります。
DX化は自宅や外出先での業務遂行も可能にするため、柔軟な働き方とマッチするでしょう。
たとえば朝日放送グループホールディングスでは、女性活躍促進とワークライフバランス実現にむけて、ITツールやネットワークインフラの整備、データマーケティングといった積極的なDX化に取り組みます。
こうした取り組みが「業務効率化」や「テレワーク環境の実現」につながり、女性の従業員や管理職の人数・割合が上昇しています。
参考サイト:朝日放送グループホールディングス株式会社
https://corp.asahi.co.jp/ja/company/report/main/0/teaserItems2/0/linkList/02/link/ABC_CorporateReport2021_single.pdf
https://corp.asahi.co.jp/ja/info/info4221312803046608478/main/0/link/DX_HP.pdf
評価制度の整備
従来の評価制度は、「定時+オフィス勤務」を前提とした内容が多く見受けられます。
こうした状態で「柔軟な働き方」を取り入れると、柔軟な働き方をする人の評価結果が悪くなる可能性もあります。
また、異なる働き方をする人たち同士で「(相手が)不公平だ」と思う気持ちを芽生えさせ、人間関係の悪化にもつながりがちです。
~人間関係悪化の例~ 株式会社Cでは、コロナ流行以降、子育てなどの事情がある人はテレワークも可能とする。(評価制度はコロナ以前の内容) ★通常勤務のDさん:テレワークできるEさんと同じ給料なんて不公平。クライアント対応は私任せだし。。 ★テレワークを行うEさん:なんだかDさんの態度が冷たい。テレワークの私を妬んでいるのかな?私はオフィス勤務と違って残業代は出ないし、頑張りも評価されないのだからオフィス勤務の方が良いじゃない! |
ワークライフバランスの実現を意識する企業は、実態に即するよう「評価制度の見直し」が必須です。その際には、さまざまな働き方を公平に評価し、それぞれの環境に即したキャリア形成が可能な内容にしましょう。
まとめ:理想的な女性のワークライフバランスに向けて評価制度の整備を
人手不足の緩和や生産性アップを目指すには、女性のワークライフバランス実現が欠かせません。
ワークライフバランスの実現には「評価制度の整備」が必須です。
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同時に、1on1といった定期的なコミュニケーションを実施しましょう。
ワークライフバランスの実現には、適切な評価制度の導入と、「制度が機能しているかの確認」が欠かせないからです。
株式会社シーグリーンでは、プロが第三者面談をサポートする【1プロ】というサービスも展開しているため、こうしたサービスを活用するのも良いでしょう。
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理想的な女性のワークライフバランスを実現したい企業様は、同社の各種サービスを検討してみてはいかがでしょうか?
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