退職する社員には、なんらかの兆候が見受けられます。
少子高齢化による労働人口減が顕著な昨今において、退職者が多い事実を変えなければ、企業活動に影響が出る可能性は否めません。
そのため、企業は「離職の兆候」をいかに早く見つけるかが重要です。
とはいえ、「兆候がよくわからない」や「どういった方法で退職者を減らせるのか?」と悩む人も多いのではないでしょうか?
そこで当記事では、退職する社員の兆候を解説するとともに、事前に防ぐための対策・解決方法を紹介します。
目次
離職の兆候に気づく重要性
従業員が「退職します」と決意を固めてからでは、企業側が向き合おうとしても意味がありません。
なぜなら、従業員が退職を口にする時には「もう戻らない」という強い覚悟があり、企業から歩み寄られても「聞く耳をもたないモード」と化しているケースが多いからです。
また次の転職先が決まっていれば、ほぼ100%引き留められないでしょう。
そのため、少しでも早く離職の兆候に気づくことが重要です。
退職を考えるきっかけとは?
従業員が退職を考えるきっかけとは、どういった内容なのでしょうか?
詳細は以下の通りです。
人間関係の悩み
1日のなかでも多くの時間を費やす仕事において、人間関係がよくないとストレスがたまるため、退職の引き金になります。
人間関係の悩み(例) |
・人間関係が希薄で相談できない ・上司からのハラスメントが嫌だ ・部署の雰囲気が悪く気分が下がる |
労働条件・給与などへの不満
労働条件や給与への不満は、「安心して働けない」や「自分の頑張りと見合わない」といったマイナス感情につながります。
労働条件・給与などへの不満(例) |
・業務に対して給与額が低い ・長時間残業で心身を休ませられない ・頑張りがまったく給与に反映されない |
仕事へのやりがいを見出せない
仕事へのやりがいを見出せないとモチベーションが低下し、「この会社で頑張ろう」という気持ちが減ります。こうした時に、会社で嫌なことがあったり、魅力的な他社が見つかれば辞めてしまうでしょう。
仕事へのやりがいが見出せない(例) |
・配属された部署の仕事があわない ・上司が嫌いなので、仕事を頑張ろうと思えない |
評価結果への不満
評価結果は「企業からどう思われているか?」を知るバロメーターだと言えます。
納得のいかない評価結果であれば「企業は自分をわかってくれない」と思うため、働く意欲が低下します。
評価結果への不満(例) |
・評価基準がわからない ・上司の好き嫌いで評価されている気がする ・評価が何に反映されているのかわからない |
退職を決意するまでの流れを知る
誰しも最初から「退職しよう」と考えるわけではありません。
最初は人間関係や業務への不満、ちょっとしたギャップへのモヤモヤからはじまります。
この時点では「退職したい」というよりは、問題を解決したいというレベルです。ここで上司に相談できたり、解決方法を見出せれば気持ちが晴れるでしょう。
しかし、上司や会社に相談できなかったり、相談しても不適切な対応がつづくとモヤモヤが増えていきます。この時点で「退職」の言葉がよぎる人も多いです。
加えて上司や会社から理不尽な対応が行なわれると、我慢の限界に到達し「絶対に退職する」と決意します。
離職の兆候とは?段階別に紹介
つづいて、離職の兆候を「初期」「中期」「末期」と段階別に紹介します。
レベル1:初期
初期に兆候を発見し適切な対応をとれば、退職という最悪な結果に至らないことが多いでしょう。企業は、この段階で従業員の異変に気づくことが重要です。
1.不満や愚痴が増えた
不満や愚痴を言っているうちは、まだ会社や上司に対し「改善できたらよいのに」と期待をもつ証拠です。不満や愚痴を聞ければ、企業も打つ手があります。
とはいえ、放置するとますます不満や愚痴が増えて、そのうち口にすらしなくなります。
2.挨拶をしなくなる
挨拶は「相手と良好な関係を保ちたい」と考えると、自然と出るものです。
そのため挨拶をしなくなった背景には、相手と良好な関係を保とうと思えなくなったという事実があります。
とはいえ、単純に体調が悪い人や、こちらの存在に気づいていない可能性もあるので、決めつけは厳禁です。
3.自発的な発言・行動が減った
自発的な発言や行動は、モチベーションやエンゲージメントが高くないとできません。
今まで会議で発言したり、世間話にも加わっていたにもかかわらず、発言をしなくなった場合には要注意です。
昼休みに1人で過ごしたり、物思いにふけっている場合にも、会社に対する不満をかかえているかもしれません。
レベル2:中期
中期になると「退職したい」という気持ちが強くなり、対処法を間違うと最悪のケースにつながる可能性があります。
4.遅刻・早退・急な休みが増えた
遅刻・早退・急な休みが増えた場合には、仕事のストレスで心身に支障をきたしている恐れがあります。
また新たな就職先を見つけており、面接の時間を確保している可能性もあるでしょう。
こうした状況は限りなくレッドカードに近いものの、まだ就職先が確定しているわけではないため、会社の対応次第で戻ってくるかもしれません。
5.身なりが変わる
スーツのような格好で出社するようになったり、髪色を落ち着かせたりしている場合には、面接に行っているかもしれません。
逆に格好がラフになったり髪色が派手になった場合にも、「ここで社会人としてきちんと働こう」という思いがなくなったため、自分の好きにしている可能性があります。
いずれにしても、身なりの変化には何かしらの背景があるため、注意して観察しましょう。
6.離席が増える
普段あまり離席しないにもかかわらず離席が増えた場合には、スマホ経由で面接の連絡をしている可能性があります。
たとえ面接の連絡ではなくても、仕事へのモチベーションが下がったため、最低限の仕事をしたらどこかで休んでいるのかもしれません。
レベル3:末期
末期の兆候がある場合には、今日にでも「退職したい」と切り出される可能性があります。
この段階まで来ると、一筋縄ではいきません。
7.デスクを整理している
普段から綺麗好きでデスク清掃をしている人はともかく、そうではないのにデスク整理をしている場合には要注意です。
「退職するので、必要な私物をもち帰ろう」や「すぐ退職できるように掃除しておこう」と考えている可能性があります。
8.不満や愚痴が一切なくなった
今まで不満や愚痴を言っていたにもかかわらず、一切口にしなくなった場合は要注意です。
「会社に何を言ってもダメだ」と考え、淡々と離職の準備を進めている可能性があります。
企業サイドが「〇〇さんのなかで問題が解決したのかな?」と呑気に考えていたら、急に退職願いをもってくるかもしれません。
9.引継ぎ書をつくっている
「マニュアルをつくっているのか、えらいな」と気軽に考えるのはNGです。
マニュアルという名の「引継ぎ書」かもしれません。
とくに次の職場が決まっている人は、新たな職場から「早く入社してほしい」と言われている可能性があります。
そのため、現職に対する退職日の交渉材料として、引継ぎ書を用意していることも考えられます。
離職を事前に防ぐための解決策
離職を事前に防ぐための解決策について、「現段階で離職の兆候がある社員」と「今後離職者を減らすことを見据えた」2つのパターンに分けて解説します。
離職の兆候がある社員に今できる解決策
現段階で離職の兆候がある社員にできる解決策は、以下の通りです。
声がけをする
「最近どう?」「なんだか元気ないみたいだけど」などと声がけをし、従業員が悩みを話しやすい状況をつくりましょう。
安心して話せる場を用意することで、悩みを話してくれるかもしれません。
間違っても「辞めたいの?」や「仕事嫌でしょ?」などと、核心的な質問をしてはいけません。
警戒心をもたれるだけでなく、「辞めたい」や「仕事が嫌」という言葉に反応し、本格的に退職を決意するきっかけになります。
本人の話をしっかり聞く
従業員が悩みを話してくれた場合には、真摯に向き合います。
企業サイドの話はおいておき、本人の話をしっかり聞くことに焦点をあてましょう。
また「否定」「叱責」「軽くあしらう」はNGです。二度と悩みを相談してくれなくなります。
「そうだったのか」「嫌だったよね」などと、嫌な思いをかかえた事実を受け止めたうえで、悩みに対して回答します。
すぐに答えを出せない場合には、後日回答する旨を伝えましょう。
今後「離職者を減らすこと」を見据えた解決策
今後「離職者を減らすこと」を見据えた解決策は、以下の通りです。
パルスサーベイの実施
パルスサーベイとは、簡単な質問を定期的に行ない、従業員満足度をリアルタイムにチェックする手法です。
パルスサーベイを実施し、従業員満足度が低ければ、会社に不満を持つ人が多いと言えます。不満を放置すると離職につながるため、満足度が低い原因を把握し、原因にあった対応を行ないましょう。
管理職への教育強化
管理職のマネジメント体制を高め、ハラスメントへの意識などを植え付けることで、部下への接し方がよい意味で変化する可能性があります。
管理職への教育強化では、社内研修の実施はもちろんのこと、外部の研修を受けさせるのも1つの方法です。
労働環境の見直し
業務体制や人間関係といった労働環境が悪いと、離職者の増加につながります。
そのため根本的な問題として、労働環境の見直しが必要です。
たとえば、システム活用による業務効率化や、社内コミュニケーションツール導入による人間関係向上などが挙げられます。
評価制度の整備
評価制度が整っていると、自分をきちんと見てくれていると考えるため、モチベーションアップがかないます。
適切な評価制度は、従業員の納得度を高めるため、会社への信頼にもつながるでしょう。
評価結果によって「従業員の心境の変化」もわかるため、どういった対策をすべきかも考えやすくなります。
まとめ:離職の兆候をつかみ、退職を防ごう
退職者を減らすには、離職の兆候をつかみ、適切な対応をすることが大切です。
あわせて、離職の兆候が出ないような環境づくりも意識します。
評価制度を整備すると、従業員の頑張りを正しく評価できるため、従業員からの信頼や納得感が増します。信頼や納得度の向上は、モチベーションやエンゲージメントアップに寄与するため、定着率の向上につながるでしょう。
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