人事評価エラーとは、評価者の固定観念や考え方などが影響し、正しい評価ができないことです。
評価は人が実施するため、どうしても誤差が生じるとはいえ、人事評価エラーを放置すると従業員の不満にもつながります。そのため、人事評価エラーには対策が必須です。
当記事では人事評価エラーに対する対策方法をはじめ、具体的なエラー内容についても解説します。
人事評価エラーへの理解を深め、正しく対処したい場合には、ぜひ参考にしてください。
目次
人事評価エラーとは?
人事評価エラーとは、評価者の先入観などによって、公平な評価ができない現象のことです。
意識的なケースもあるものの、たいていの評価者は評価エラーに気づいていません。無意識だからこそ、原因や対策方法をしっかり考えなければ、従業員からの不満を増幅させてしまうでしょう。
また適切な対策方法を講じれば、状況は改善する傾向にあります。
人事評価エラーによる悪影響について
人事評価エラーが続くと、さまざまな悪影響があります。
なぜなら、人事評価エラーは正しい評価結果を導けず、従業員に対し不信感やストレスを与えてしまうからです。
具体的には、以下のような悪影響があります。
・モチベーションが低下する
・離職への引き金になる
・生産効率が低下する
モチベーションや生産効率が低下すると、企業が提供するサービスや製品の質自体も低下しがちです。さらに離職の引き金になり、従業員が定着しなくなることも、サービスや製品の質を保てない要因となります。
サービスや製品の質が低下すると、顧客からの不満につながり、企業イメージもダウンしかねません。
陥りがちな「7つの人事評価エラー」とは?
人事評価エラーは基本的に「7つの人事評価エラー」のいずれかに該当します。具体的なエラー内容を知ることで、エラーの回避にもつながります。
1、ハロー効果
ハロー効果とは、評価対象者の目立つ特徴に対し、他の評価項目も影響をうけてしまうことです。ハローは英語で「後光」を意味します。後光は強い光でまぶしいため、目の前にあるものが見えなくなりがちです。
~ハロー効果(例)~ 実際にはヒューマンスキルが低いものの、高学歴のAさんに対し「学歴が高いから、ヒューマンスキルも高いに決まっている」と思い込む |
2、中心化傾向
中心化傾向とは、従業員の「スキル」や「ポテンシャル」の状況にかかわらず、評価結果が中間値に集まることです。
たとえば、5段階評価では「3」の結果が多く、ABC評価では「B」に結果が集まるなどが該当します。
中心化傾向が発生する背景には、評価者の「自信のなさ」や、周囲への「過度な配慮」があげられます。また評価を適当に実施する場合にも、「よくわからないから、とりあえずB評価をつけておけばよいだろう」と中心化傾向で実施しがちです。
3、寛大化傾向
寛大化傾向とは、評価が全体的に寛大になることを指します。つまり、甘めの評価内容がつけられてしまいます。
「評価した相手から反感を買いたくない」や「部下に嫌われたくない」などと思うと、実績より甘い結果をつけてしまいがちです。また、部下についてよく理解していない場合にも、「とりあえず甘めにつけておけばよいだろう」と寛大化傾向を実施することがあります。
4、逆算化傾向
逆算化傾向とは、評価の総合結果を決めたうえで、辻褄があうように逆算し各評価を決定することです。
たとえば、昇給額を先に決め、評価内容があうように帳尻をあわせます。
また人事評価システムがうまく機能せず、煩雑な状態になっている場合にも「面倒くさいから、逆算してしまおう」という思いが発生しがちです。
5、期末効果
期末効果とは、期末の出来事に「評価全体」が左右されることを指します。
~期末効果(例)~ 同じミスが発生した場合に、期首で発生するとそこまで評価に影響が出ないものの、期末に発生すると悪い評価がつけられてしまう |
期末効果が発生すると、期末だけ頑張る社員が出てくる可能性もあります。
6、論理誤差
論理誤差とは、評価者の憶測で評価をくだすことです。
たとえば、高学歴の従業員に対しては「真面目でしっかり仕事にとりくむ」と思い込み、高校中退の従業員には「すぐに仕事を投げ出す」と決めつけるなどが該当します。
論理誤差では、事実確認をせずに評価をするため、悪い評価をつけられた人の意欲を削いでしまいます。
7、対比誤差
対比誤差とは、評価者である「自分自身の能力」を基準とし、評価対象者の能力と比較しながら評価することです。
~対比誤差(例)~ 評価者の営業スキルが高ければ、評価対象者が営業職の場合には厳しい評価をつける。一方評価対象者が事務作業を不得意とする場合には、事務職の評価を実施する際に、甘い評価をつけてしまう。 |
人事評価エラーの対策方法
人事評価エラーを減らすには、「エラー要因の排除」と「エラーを起こさない仕組みづくり」が重要です。2点を踏まえたうえで、以下の対策方法をとるとよいでしょう。
評価基準の明確化
1つ目は、評価基準の明確化です。
評価基準が明確だと、「何にもとづき評価するか?」がはっきりするため、誰が評価しても一定の質を維持できます。一方評価基準が曖昧な場合には、評価者の主観が反映しやすく、評価エラーも発生しがちです。
評価項目の明確化には、評価システムを構築したうえで、関係者全員が共有できる仕組みづくりも欠かせません。
評価に関する研修の実施
2つ目は、評価に関する研修の実施です。
人事評価エラーをなくし、公平な評価を実施するには、評価者が以下を知る必要があります。
・評価の概要
・実施する目的
・正しい評価のつけかた
上記を周知させるには、評価担当者を対象とした「評価に関する研修」を実施すると効果的です。正しい評価手順を理解できると同時に、評価スキルの向上も期待できます。
定期的なミーティングの実施
3つ目は、定期的なミーティングの実施です。
ここでいうミーティングは、以下の2種類です。
1、評価者同士のミーティング
評価者同士のミーティングでは、評価を実施する前に「評価の進め方」に対する認識を統一させます。
また、従業員に評価結果を伝える前に「内容に問題がないか?」を確認する、二重チェックのような機会を設けることもオススメです。
2、上司と部下で実施するミーティング
上司と部下で実施するミーティングでは、評価結果を伝えると同時に、評価の目的や方法を共有します。
また評価結果について、部下が「不満に思っていないか?」なども探りましょう。不満に思っている場合には理由を聞き、今後の改善に役立てます。
複数人で評価する
4つ目は、複数人で評価することです。
なぜなら、1人で評価を実施するより、複数人で実施するほうが「評価の透明性」は増すからです。
たとえば、今回はA上司が評価し、次はB上司が評価するなどと評価者を変えるのもよいでしょう。また360度評価のように、関係者複数人で評価する仕組みをつくることもオススメです。
まとめ
人事評価エラーを避けるには、自社の評価状況を確認し、どういったエラー傾向があるかを知ることが大切です。同時に、エラー回避ができるような評価基準をしっかりとつくります。
自社の評価状況を確認するには、評価状況の可視化が欠かせません。評価構築パッケージでは、評価状況の可視化はもちろん、エラーを回避できる評価システムも構築できます。
また専任の担当者が「企業様が評価制度の運用」に専念できるよう、評価制度の設計も実施するため、評価体制に不安な企業様も安心して利用できます。
人事評価エラーを減らし、適切な評価を実施したい場合には、評価構築パッケージを検討してみてはいかがでしょうか。
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