ビジネスにおける生産性とは、企業が投入した資源に対して得られた成果を指します。つまり企業の成長にとって、生産性の向上は欠かせません。
生産性を上げるには、正しい評価方法が必要です。
当記事では、生産性を上げるための要素をはじめ、具体的な3つの評価方法について解説します。生産性を上げたい人事担当者は、ぜひ参考にしてください。
目次
「生産性の低い」組織に共通する問題点
生産性の低い組織には、共通する問題点があります。詳細は以下の通りです。
長時間労働
生産性の低い組織では、長時間労働が定着しています。
ラグビー日本代表・前ヘッドコーチであるエディー・ジョーンズ氏によると、長時間労働は生産性を低くします。
※引用元:PRESIDENT Online|「年2回の人事評価なんてとんでもない」エディー・ジョーンズが分析する、日本人の生産性が上がらない理由
https://president.jp/articles/-/57925?page=1
日本の企業におけるリーダーは、長時間労働をよしとする人も多く、部下に対して当たり前のように長時間労働を強いるケースもあるでしょう。部下に対する「相対的優位性」を示すことも、1つの目的です。
しかし、長時間労働は集中力をなくすため、結果的には生産性が落ちてしまいます。
安全志向
生産性の低い組織では、安全志向が根底にあります。
日本人は元来より保守的と言われており、安全志向の人が多い点も特徴です。ビジネス面においては、ミスをしないことが必須であり、挑戦をしにくい環境がつくられがちです。
実際に、「些細なミス」や「挑戦した結果の失敗」に対し、ミスを責める上司も見受けられます。
そのため部下は、「挑戦をして失敗するくらいなら、今まで通りの流れでよい」と思ってしまいます。今まで通りの環境下にいれば、前進や飛躍をしにくく、生産性の高い組織もつくられにくいでしょう。
前述のエディー・ジョーンズ氏は、「生産性向上の足を引っ張る【日本人の安全志向】を取り払い、冒険心を評価してもよいのでは?」と訴えます。
評価のスパンが長い
生産性の低い組織では、評価のスパンが長い傾向にあります。日本の多くの企業では、評価を実施するスパンが「年1~2回」と、少ない点が特徴です。
また「年1~2回」の評価時でないと、上司と部下がまともに会話をする時間・機会がないこともザラです。
エディー・ジョーンズ氏は、「年2回の評価で、適切な評価ができているなんてとんでもない」と驚きます。なぜなら、日々仕事をおこなっているため、月単位・週単位はもちろん、毎日でも評価する内容はあるからです。
それなのに、評価スパンが年1~2回では、生産性が上がりにくいのは当然だと言えます。
生産性を上げるために必要な要素
つづいて、生産性を上げるために必要な要素を紹介します。
詳細は以下の通りです。
固定観念の排除
生産性を上げるために必要な1つ目の要素は、固定観念の排除です。
ラグビー日本代表・前ヘッドコーチであるエディー・ジョーンズ氏は、「思い込み(=固定観念)は生産性を鈍らせる元凶」だと言います。
エディー氏が強調するのは、ビジョンの必要性であり、メンバー全員への周知です。ビジョンがあることで、常識や思い込みといった固定観念を取りのぞけるため、最高のパフォーマンスを発揮できます。
ラグビーで言うと、日本の関係者は「日本人は体重も軽く、農耕民族だった過去があるため、狩猟民族である外国に勝てない」と勝手に思い込んでいます。しかし、そのような科学的根拠はなく、単純に固定観念にしばられているだけです。
不要な固定観念は生産性を邪魔するため、リーダーは「固定観念の排除」と「メンバーへの自信の付与」を意識する必要があります。
信頼できる評価システムの存在
生産性を上げるために必要な2つ目の要素は、信頼できる評価システムの存在です。生産性を最大化するために、評価システムの存在は欠かせません。
なぜなら、評価システムは以下のように「生産性を高めるために必要な要素」が詰まっているからです。
・ビジョンの策定
・プランの立案
・プロジェクトの進捗状況を確認
・個人の状況チェック
また、評価システム自体も「信頼できるもの」である必要があります。なぜなら、評価システムは「向かうべきゴール」の役割ももつため、信頼できる内容であることで、安心して身を任せて活用できるからです。
評価システムを使う際には、部下だけではなく、リーダーの評価も忘れてはいけません。
評価のスパンを短くする
生産性を上げるために必要な 3つ目の要素は、評価のスパンを短くすることです。
前述の通り、評価のスパンが「年1~2回程度」だと、生産性は上がりにくくなります。なぜなら、企業自体はもちろん、従業員やチームの動きは日々において変化しているからです。さらに流れの速い時代のなかで、状況は刻一刻と変わり続けています。
こうしたなかで「年1~2回」の評価スパンでは、生産性向上に到底足りないと言えます。
大がかりな評価は「年1~2回」でよいとしても、日常的に評価をとりこみ「スパンを短くする」姿勢は欠かせません。
組織の生産性を上げる具体的な3つの評価方法
組織の生産性を上げるには、適切な評価方法が必要です。ここでは、具体的な「3つの評価方法」について解説します。
1、固定観念をなくし、フラットな状態で評価する
組織の生産性を上げる1つ目の評価方法は、固定観念をなくし、フラットな状態で評価することです。
「思い込み(=固定観念)は生産性を鈍らせる元凶」であり、生産性を下げる大きな要因となり得ます。
成功者は、「みんなできなかったから無理だ」といった固定観念をもたず、フラットな状態から挑戦することで、思い通りの結果を得ている点が特徴です。
そのため、リーダーには「どうせ失敗するからダメだ」や「こんな大がかりなことできるハズがない」などと一蹴せずに、フラットな状態で評価する姿勢が求められます。
同時に、「ミスをしても寛容する環境」を意識する点も忘れてはいけません。
2、信頼できる評価システムを使用
組織の生産性を上げる2つ目の評価方法は、信頼できる評価システムを使用することです。理由は以下の通りです。
・チームが一丸となるためには、ビジョンの共通認識が必要
↓
・ビジョンの共通認識には、一定の指針が必要
↓
・評価システムはチームで共通に使用でき、データも一元化できるため「一定の指針」になる
とはいえ、独自に評価システムを構築・運営するのは、非効率的です。そのため、専用の評価システムを使うとスムーズであり、間違いも少ないと言えます。
3、短いスパンで評価する
組織の生産性を上げる3つ目の評価方法は、短いスパンで評価することです。
評価のスパンを短くすることで、進捗状況や問題点などを随時発見できます。状況に応じて新たな目標を細かく設定できるため、ゴールへのズレが生じにくくなるでしょう。
また短いスパンでの評価には、1on1ミーティングや中間面談が適しています。そのため、日常的な評価では「1on1ミーティング」や「中間面談」を導入したうえで、実施するとよいでしょう。
さらに短いスパンで評価を実施することで、上司と部下が向き合う機会も必然的につくられ、コミュニケーションを取る時間も増えます。
お互いに距離が縮まり、信頼もわきやすくなるでしょう。
まとめ
生産性を上げるためには、信頼できる評価システムを使用したうえで、固定観念をなくし「フラットな状態」かつ「短いスパン」での評価が必要です。
また、適宜「1on1ミーティング」や「中間面談」の導入もオススメです。
生産性アップを目指す企業担当者は、当記事で紹介した「生産性の低い組織に共通する問題点」も踏まえつつ、反面教師になるようお役立てください。
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