仕事における個人目標の設定に、MBOは効果的な手法です。MBOを正しく運用すれば、従業員のモチベーションが高まるなど、さまざまな効果があります。
当記事ではMBOで個人目標の設定ポイントをはじめ、ケース別の例文も紹介します。
仕事の個人目標を適切に設定したい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
MBOとは?
MBO(Management by Objectives)は、目標管理制度の1つであり、社会思想家であり「マネジメントの父」とも呼ばれるP.F.ドラッカーが提唱した概念です。
MBOでは個人やチームごとに目標設定をし、目標の達成度合いで評価をします。
その際に、達成するゴールを明確にすることと、従業員(またはチーム)と企業の目標をリンクさせる点が特徴です。またMBOでは、上司が一方的に決めるのではなく、部下と上司が相談・協議しながら目標を決めます。
そのため、仕事に「受け身」ではなく、積極的に取り組める従業員を育成する効果があります。
MBOで仕事の個人目標を設定するポイントとは?
MBOで仕事の個人目標を設定する際には、「SMART」の原則に従うとスムーズです。
SMARTとは、以下の頭文字からとった言葉を指します。
・S(Specific)…目標が明確かつ具体的である ・M(Measurable)…第三者でも測定できるレベルで設定 ・A(Achievable)…目標は達成できる水準である ・R(Related)…上位(企業やチーム)の目標とリンクする ・T(Time-bound)…達成すべき時期が設定されている |
目標設定をする際には、「S」「M」「A」「R」「T」それぞれの特徴を理解したうえで、各項目に当てはめると良いでしょう。
各項目の詳細は、以下のとおりです。
Specific:目標が明確かつ具体的である
Specificは、目標が明確かつ具体的であることを意味します。
設定した目標は、「自分だけが理解できれば良い」というものではありません。明確かつ具体的な理由を盛り込み、誰が見ても同じ認識で理解ができるレベルに落とし込む必要があります。
なぜなら、MBOは企業の目標とリンクするため、人によって異なる認識だと意味をなさないからです。
・NGな目標例:前年度より売上アップ、顧客満足度の向上
・OKな目標例:前年度より売上を100万円以上アップする
上記の「OKな目標例」のように、リアルな数値や商品名を出すことで、具体性が増します。
Measurable:第三者でも測定できるレベルで設定
Measurableは、第三者でも測定できるレベルで設定することを意味します。
目標の「達成可否」や「進捗状況」については、第三者でも測定できるレベルで表現する必要があります。理由はSpecficと同様で、MBOは上位(企業や部署)の目標とのリンクが必須だからです。
【NGな設定例】:売上を増やす
→何の売上を指すかが不明瞭です。さらに、どれだけ増えると目標達成なのかも分かりません。
【OKな設定例】:既存顧客のアフターフォローに注力し、主力取引先A社に対し、前年よりトータルで500万円の売上増を目指す
→対象とする売上の範囲が明確であり、どれだけ増えると目標達成かも分かりやすいです。
第三者が測定できないレベルだと、達成状況を把握できないのはもちろん、正確な評価もできません。
Achievable:目標が達成できる水準である
Achievableは、目標が達成できる水準であることを意味します。
達成できない目標は、たてても意味がありません。なぜなら、完全に無理そうな目標に対して人は意欲を失うものであり、早々に諦めてしまう可能性が高いからです。
とは言え、簡単すぎる目標もチャレンジ意欲をそぐため、不向きだと言えます。また、外部要因に大きく起因する内容も不適切です。
理想的な目標は、本人の努力や工夫によって、達成できるかもしれないと思わせる内容です。
Related:上位(企業や部署)の目標とリンクする
Relatedは、上位(企業や部署)の目標とリンクすることを意味します。
前述のとおり、MBOで設定する個人の目標は、上位である部署や企業自身の目標とリンクする必要があります。
なぜなら、リンクしていると、個人の目標が達成した際に「部署」や「企業」の目標達成にもつながるからです。
つまり個人の目標設定をする際には、上位組織の目標への理解が必須だと言えます。
また個人の目標が、自身の「キャリアビジョン」や「価値観」につながると、モチベーションアップにもつながります。
Time-bound:達成すべき時期が設定されている
Time-boundは、達成すべき時期が設定されていることを意味します。
目標は、達成する時期が明確でないと、先送りにしがちです。最悪の場合には、目標を達成すること自体を忘れてしまいます。そのため、達成すべき明確な期限の設定が欠かせません。
MBOでは、時期を「四半期」や「半年」で設定するケースが一般的です。
また達成時期については、短期間の方が具体的に計画に落としやすくなります。しかし、焦りの方が増して、「挑戦するぞ!」という意欲に欠けがちです。
一方、達成時期を長期間に設定すると、意欲面ではプラスに働く傾向にあるものの、具体的な計画として落としにくくなります。
そのため、目標の特徴に応じて、ベストな時期を設定すると良いでしょう。
MBOの具体的な目標について、ケース別に例文を紹介
つづいて、MBOの具体的な目標設定について、ケース別に例文を紹介します。
ケース1:営業
営業は目標を数値に表現しやすいことが特徴です。そのため、「定量情報の掲載が可能」という利点を活かしつつ、目標設定をすると良いでしょう。
売上・受注件数・粗利など、数値で目標を掲げたうえで、具体的な達成案を決めていく方法が一般的です。
~営業の「目標」と「達成案」の例~
【目標】
新規顧客を毎月3件獲得し、半年でトータル500万円の売上を獲得する
↓
【達成案】
休眠顧客リストをチェックし、テレアポとDMを実施する。そのうえで、毎月10件以上の新規顧客を訪問する。
ケース2:事務
事務は営業などと比較すると、目標を数値として表現することが難しいと言えます。そのため、定量よりは「定性的な情報」に傾く点に注意しましょう。
また事務では、具体的な運用よりも、改善策に注視すると目標設定がしやすくなります。
~事務の「目標」と「達成案」の例~
【目標】
1月中に人事システムを選定・導入し、関係するメンバーに対し2月中には周知を実施する。受発注のミスを防ぐことはもちろん、社内の情報共有の基盤とする。
↓
達成案:人事システムを開発するA社とコンタクトをとり、1月中にシステムの導入ができるよう交渉する。導入が決定したら、2月上旬には運用マニュアルを完成させ、2月中旬に関係者に対して勉強会を実施する。
ケース3:販売
販売は、商品やサービスを売る仕事であるため、目標を数値として表現しやすいことが特徴です。その点を活かし、明確な数値と数値に対する行動を表記すると良いでしょう。
とは言え、営業とは違い、各自の努力だけでは結果が出せないこともあります。そのため、具体的な数値の他に、顧客満足度やリピーター状況などの反映もオススメです。
~販売の「目標」と「達成案」の例~
【目標】
前年度よりも販売金額を50万円アップさせるとともに、リピーターの来店率も前年比10%増を目指す。
↓
【達成案】
登録者へのメルマガ発信を3日に一度おこない、リピーターの来店率アップを目指す。来店した顧客には、次回の提案を必ず実施し、次の来店につなげやすいよう導線をつくる。
ケース4:企画/マーケティング
企画/マーケティングでは、企業や部署の特性によって、プロジェクトのリリース数や顧客へのアプローチ数など、数値の設定が多様です。
そのため、各社の特徴に合った目標設定をおこないましょう。
~企画/マーケティングの「目標」と「達成案」の例~
【目標】
自社のサービスは夏に需要が増えるため、4月上旬までに新規プロジェクトをリリースし、4月中旬までに顧客へのアプローチを開始する。そのうえで、5月末までに予定数の80%を予約で埋めたい。
↓
【達成案】
新規プロジェクト用の公式アカウントを4月上旬までに開設し、各種SNSで宣伝をかける。Twitterとインスタグラムのフォロワーは、5月上旬までにトータル3,000人を目指す。
まとめ
MBOで仕事の個人目標を設定する際には、第三者に分かる具体的な内容かつ達成できるレベルの内容を掲げる必要があります。
また、企業の目標ともリンクさせつつ、達成時期を設定する点も忘れてはいけません。
MBOの個人目標を作成する際には、煩雑な作業も多く、社内で共有する必要もあります。そのため、人事評価システムを使うとスムーズです。
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