相手のことを良く知るための力を観察力と呼びます。
観察力があることで、相手の仕草や表情、声のトーンなどから、言葉の真意や正確な意図を汲むことができます。
相手の意図を正確に汲むことができるようになることで、より相手に伝わりやすい言葉をセレクトしたり、適切なアプローチをすることが可能です。
目次
【理論】「観察力」を鍛えると、どんな効果があるのか?
観察力を鍛えることで、コミュニケーションを円滑に取れるようになるだけではなく、相手のニーズに気が付くことができます。
観察力は上司・部下とのコミュニケーションだけではなく、取引先やプライベートなど、多彩なシーンで活躍してくれます。
更に、相手のニーズや状況を正確に知ることで、営業や取引先との交渉といった、ビジネスシーンで成果をあげることができます。
つまり観察力は、ビジネスパーソンやマネジメント層の必須スキルといえるのです。
相手の真意を知ることができる
上司に対して言い出しにくいことってありますよね。
観察力を鍛えることで、そんな部下の「本音」を知ることができます。
例えば、目が泳いでいたり、会話に集中していなかったり…。
言葉だけではなく、表情や仕草そして態度を見ることで、本心に近付くことができるのです。
適切なコミュニケーションを取れる
相手の本音を知り、相手の置かれた状況を把握することで、より効果的なコミュニケーションを取ることができます。
相手の反応を見て、掛ける言葉を変えたり言葉を選んだりすることも大切なポイントです。
リスクマネジメントに繋がる
観察力を鍛えることで、状況を正しく認識することができます。
正しい情報に基づいた未来予知ができるので、リスクマネジメントに繋がります。
【実践編】観察力を鍛えるためのポイント
観察力を鍛えるためには、観察力の重要性を自覚することが大切です。
対人コミュニケーション編
言葉だけのやり取りでコミュニケーションを完結させてしまわず、相手に注意を払って観察をしてみましょう。
相手の真意を汲むことで、より良いコミュニケーションを取ることができるようになり、関係性が向上します。
・表情
表情の明るい・暗いや顔色は、感情によって変化が出やすい場所です。
・視線
視線が泳いでいる時には、嘘をついていたり隠し事をしていたりすることがあります。
・仕草
興味がない時には、足や体が話者の方を向きません。
・声のトーン/大きさ
声のトーンや大きさ、そして抑揚なども大切な手掛かりとなります。
・言葉のセレクト
ネガティブな言葉/ポジティブな言葉、どちらが多いか。
自己分析編
「自分を知る」というのは、コミュニケーションを取るうえで、非常に大切なポイントです。
例えば、朝からなんとなく身体が重い時に、トラブルが重なると、ニュートラルな状態で対応することが難しくなってしまいますよね。
「身体が重い」と感じた時に、更によく自分を観察することで、「睡眠不足」や「鼻声だ」などといった、変化に気が付くことができます。
漠然と感じていた不調の原因を明確にすることで、より適切な対応を取ることができるようになります。
人間観察編
観察力を鍛えるのは、対人コミュニケーション以外でも可能です。
例えば、街ゆく人を観察することで、単に通りすがりの人というだけではない「個性」に気が付くことができます。
同じスーツ姿でも、スーツの色やシャツの色、ネクタイやカバンは人それぞれですよね。
また、待ち合わせをしている際にも、スマートフォンを触っている人、音楽を聴いている人など、一人として同じ人はいません。
こうした人間観察をすることで、今まで気が付くことができなかった、違いを見出すことができるようになります。
更に、これらの人がどんな動きを見せるか、未来予測の練習をすることも可能です。
名画編
先ほどご紹介した人間観察では、観察対象の人がその場を離れてしまうと、観察が終わってしまいます。
更に、未来予測をすることはできますが、直接その人に答え合わせをするのは難しいですよね。
そのため、未来予測が合っていたか分からないことも多くあります。
そこでお勧めしたいのが、絵画や彫刻といった「アートの鑑賞」です。
美術史家で弁護士でもある、エイミー・E・ハーマンの「知覚の技法」は、絵画や彫刻などのアートを見ることで観察力や分析力などを磨くというものです。
CIAやFBIでも取り入れられているこのメゾットは、「できるだけ多くの視点で見る」ことの重要性を説いています。
個人の持つ知覚フィルターは、その人の経験や知識によって形作られるため、同じものを持つ人はいません。
このフィルターを通すことで、認識が歪んでしまったり自分に都合の良いように修正されてしまうことがあります。
自分の見方が正しいかを疑い、他人の知覚を確かめることが重要です。
絵画や彫刻などのアートを活用して、主観をできるだけ排除して物事を客観的にみる訓練をしましょう。
参考:エイミー・E・ハーマン「観察力を磨く 名画読解」 早川書房
【補足】観察力と並んで重要な「洞察力」と「表現力」
観察力は、表面に現れている物事を見る力です。
先ほどから触れている「未来予測」は、物事の本質を見抜く「洞察力」が関係します。
観察力だけではなく、目に見えない部分を見抜く洞察力を磨くことで、適切なコミュニケーションを取ることができます。
また、いくら観察力や洞察力を磨いたとしても、自分の感情や思ったことを伝える「表現力」が伴わなければ真意を正しく伝えることができません。
適切な言葉をセレクトするためには語彙力が必要ですし、話す内容によって適した声のトーンや大きさに口調、仕草や表情をセレクトするのも重要なポイントです。
語彙力は読書で磨くことができます。
更に、喜怒哀楽を言葉だけではなく表情で伝えることを意識しましょう。
時には身振りや手振りを織り交ぜて伝えることで、豊かな表現力を身に着けることができます。
洞察力と表現力を身に着けることで、より円滑なコミュニケーションを取ることができるようになります。
沢山の人とコミュニケーションを取る
特定の人ばかりとコミュニケーションを取っていると、「全てを言わなくても伝わる」ようになってしまうケースが多くあります。
関係性の構築は重要ですが、閉ざされたコミュニティだけで仕事が成り立つわけではありませんよね。
居心地の良い関係性を築けるのが、「ウマの合う人」だけではダメなのです。
積極的に沢山の人とコミュニケーションを取ることで、どんな人にも伝えられる表現力を身に着けましょう。
人にはそれぞれ特性や性格があります。
そのため、同じ伝え方をしても、受け取り方は人それぞれです。
もし上手に伝わらなかった際には、必ず振り返りをして改善しましょう。
部下から「ここがちょっと分かりにくくて…」といわれたら、相手の理解力に合わせるだけではなく、自分が適切な表現をできていたか、見直すことが重要です。
改善していくことで、コミュニケーション能力を磨くことができます。
おわりに
コミュニケーションを円滑に進めるだけではなく、ビジネスでもプライベートでも活躍してくれる観察力。
観察力を鍛えることで、イマイチ会話が弾まないと感じている部下とも、良好な関係を築くことができるようになるかもしれません。
まずは会話の際に、相手の様子をより良く観察することからはじめてみては如何でしょうか。
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