会社を運営するうえで、欠かすことのできないバックオフィス業務に、労務管理と人事管理があります。しかし両者の違いを聞かれても、明確に説明できる人は、少ないのではないでしょうか?
当記事では、労務管理/人事管理の違いをはじめ、詳しい業務内容も解説します。
労務管理と人事管理の違いを知りたい人は、ぜひチェックしてください。
目次
労務管理と人事管理の違いとは?
労務管理と人事管理は、似ているようで異なるものです。とは言え、実際に総務や人事として働く人でも、内容を混同することがあるでしょう。
両者の違いを大まかに言うと、以下の通りです。
・労務管理…社内の「組織」を対象とする仕事 ・人事管理…社内の「人」を対象とする仕事 |
つまり、対象とする内容が異なります。
しかし「会社を活性化する」ことや「会社を安定的に継続させる」といった目的は同じであるため、互いに強いつながりをもつことが特徴です。両者を適切に機能させることで、会社の運営がプラス面に向かいます。
労務管理の業務内容/具体例について
前項で、労務管理と人事管理の違いについて、大まかな概要を説明しました。
両者の違いをさらに詳しく知るため、それぞれの業務内容と具体例を解説します。
まずは、労務管理の業務内容と具体例について、解説します。
業務内容を端的にまとめると、「労働環境の整備」です。労働環境を整えることによって、従業員は安心して仕事ができ、会社は健全に運営ができます。
労務管理の具体的な業務内容は、以下をチェックしてください。
就業規則の整備/管理
就業規則は、正社員やパートなどの従業員を「常時10人以上」雇う場合には、設置する義務があります。
義務が生じるだけではなく、整備することで以下の効果が期待できます。
・職場の規律が保たれる ・さまざまなトラブルを回避できる ・従業員の安心感につながる |
また就業規則を作成したら終わりではなく、社内の変化や、法律の改訂などによって変える必要があります。
変えなかった場合には、トラブル時に対処できないことや、職場の統制がはかれないといった問題が発生します。
そのため、就業規則の整備/管理は、労務管理における重要な仕事だと言えます。
勤怠/給与の管理
勤怠/給与の管理とは、従業員の出退勤や早退などを適切に把握し、給与に反映することを指します。
細かい作業が生じるため、ミスが生じやすいものの、ミスが許されない業務だと言えます。なぜなら、従業員の給与額に直結するため、支給金額が異なると従業員からの信用を失うからです。
また、従業員が支給ミスに気づかなかったとしても、実際よりも多い金額を支給していれば、会社は赤字状態です。
そのため、労務管理のなかでも、特に気が抜けない業務だと言えます。
福利厚生の管理
福利厚生とは、従業員とその家族に対し、福利(=幸福と利益)の提供を目的としたサービスです。
福利厚生には、以下の2種類があります。
福利厚生の種類 | 内容 | 具体例 |
法定福利 | 法律で、設置が義務付けられている福利厚生 | ・健康保険 ・厚生年金保険 ・雇用保険 ・介護保険 ・労災保険 |
法定外福利 | 法律では定められておらず、会社の意思で自由に設定できる福利厚生 | ・住宅手当 ・社内カフェ ・災害見舞金 ・保育施設 ・食事補助 |
労務管理では、法定外福利の管理をはじめ、法定外福利の計画・設置・運用などをおこないます。
安全衛生管理
安全衛生管理は、従業員の安全と健康を担う業務です。
従業員が安心して働き、会社の活性化や安定的な継続を目指すためには、「安全な環境」と「健康な身体」が欠かせません。
そのため、重視すべき業務の1つだと言えます。
具体的に言うと、以下などが挙げられます。
・作業環境の点検/整備・救急用具の準備 ・メンタルヘルスチェック ・健康診断の実施 |
また従業員を「常時50人以上」雇用する企業は、健康診断結果の労働基準監督署への提出や、産業医/衛生管理者の専任なども必要です。
労使関係の管理
労働組合が存在する企業では、労使関係の管理も必要です。労使関係の管理とは、労働組合との折衝と、それに関する業務を指します。
具体的には、以下のような対応を実施します。
・労働組合の代表者との交渉 ・取りまとめた結果を労働協約に反映 ・各労働条件に関する合意を交わす |
労使関係の管理は、常に発生する業務ではないものの、さまざまな注意点があり、入念な準備が必要です。
人事管理の業務内容/具体例について
つづいて、人事管理の業務内容と具体例について、解説します。
業務内容を端的にまとめると、「従業員の働き方を管理」することです。従業員の働き方を管理することで、人材を効率的/効果的に活用できます。
人事管理の具体的な業務内容は、以下をチェックしてください。
採用
採用は、会社に適した人材を確保する業務です。「会社の事業計画」や「採用した人」の将来を左右するため、重要な業務の1つだと言えます。
採用業務を詳細にまとめると、以下の通りです。
採用業務 | 内容 |
採用プランの設計 | 採用の目的を明確化し、採用プランを設計します。活動期間/予算/求める人物像などを決めます。 |
採用手法の選定 | 採用プランをもとに、採用手法を選定します。採用手法とは、求人サイト/転職エージェント/ハローワークなどです。採用手法を決めたら、求人票を作成し、場合によっては取材や撮影も実施します。 |
書類選考/面接 | 応募者への書類選考を実施し、面接へ進む人には日程などを連絡します。また応募情報は機密性が高いため、適切な管理も必要です。 |
内定者へのフォロー | 内定者を決定したら、通知を出したうえで、意向を確認します。入社の意思がある場合には、入社に向けた手続きも必要です。 |
また採用には、退職などで不足した人材の穴埋めである「補充採用」と、会社の将来的なビジョンに向けて採用する「計画採用」があります。
人材の育成/マネジメント
人を採用したら終わりではなく、戦力として力を発揮できるよう、適切な人材の育成やマネジメントを実施します。
それぞれの段階に合わせた「研修制度」や「説明会」を実施し、適切な教育体制の準備が必要です。
そのため人事では、説明会の資料作りや、研修制度の立案などをおこない、人材の適切化を目指します。
人事評価
人材を適切に機能させるためには、会社の目標と、各自の働き方に対する差異の認識が必要になります。
差異を認識したうえで、適切な方向に導くために、人事評価は重要です。
人事評価とは、従業員の仕事へのプロセスや結果を判断し、報酬などをベースに評価する制度です。
評価の仕方/結果によっては、従業員のモチベーションや生産性を下げ、離職につながることもあるため、細心の注意を要します。
人材配置
人材配置とは、従業員のスキル/特性を見極め、最適なポジションに配置や異動することを指します。
適材適所という言葉がある通り、自分に合った場所に身を置くことで、最高のパフォーマンスを発揮できます。
また従業員のモチベーションにも関わるため、人材配置は人事業務における重要な仕事の1つだと言えます。
さらに人材配置には、降格や解雇なども含まれます。こうしたマイナスの対応は、対処の仕方1つでトラブルにも発展することから、慎重な対応が必要です。
モチベーション/エンゲージメント管理
モチベーションとは「やる気」や「意欲」を指し、エンゲージメントは、組織に対する「愛着心」を指します。
人事管理では、モチベーションやエンゲージメントの管理も重要です。なぜなら、モチベーションやエンゲージメントが下がると、生産性の低下や離職に発展するからです。
以下のような対策をし、モチベーションやエンゲージメントを管理します。
・定期的な面談の実施 ・アンケートを実施 ・相談窓口の設置 |
また上記以外の場面でも、従業員の異変に気づいた場合には、それとなく声をかけることも人事管理の業務だと言えます。
まとめ
「労務管理」と「人事管理」は異なる業務であるものの、会社を運営するうえで、欠かせない業務だとわかりました。
また記事内で紹介した通り、それぞれの業務内容は多岐にわたるため、担当者の負担も大きいです。
そこで、業務の大半を占める”人事評価”や”従業員のモチベーション維持”には、人事評価システムを利用することで工数の削減や円滑なPDCAを回すことに役立てることができます。
人事評価システム第一位に選ばれた「評価ポイント」を利用すれば、ピアボーナス制度の導入やリアルタイムでの評価、360度評価機能による従業員のモチベーション維持を実現することができます。
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