人事考課を実施した際に、セットで必要とされるのが、上司によるコメントです。本人のモチベーションやパフォーマンスを左右するものの、「どういったコメントをしたら良いかわからない」と悩む人は多いでしょう。そこで当記事では、人事考課コメントで悩む上司に向けて、コメントを行なう際のポイントや職種別の例文を紹介します。
「人事考課をより良いものにしたい」や「実際のコメントで参考にしたい」と考える場合に、ぜひ当記事をお役立てください。
目次
人事考課コメントとは?
人事考課コメントとは、社員の行動・頑張りを評価した結果に対し、上司や企業目線での「根拠」や「改善点」などを記載したものです。社員の仕事ぶりに対するコメントであるため、評価に対する理解度や、今後の仕事に対する姿勢を左右します。
ポイントが押さえられたコメントをすることで、人事考課の効果を最大限に高められるでしょう。
人事考課を実施する意味
そもそも、人事考課を実施する意味とは、どういったものなのでしょうか?
人事考課は、社員の行動・頑張りを適切に評価したものであり、本人の成長やモチベーションを促進する効果があります。また、人事考課の結果は「人材配置時の参考」にもなるため、組織の最適化にも活用できます。結果をフィードバックすることで、従業員と上司とのコミュニケーション活性化にもつながるなど、多大なメリットがあるでしょう。
人事考課コメントの重要性
人事考課を実施するだけでは、単に「評価結果を示すだけ」で終わってしまいます。人事考課コメントによって、結果に至った根拠がわかるため、評価に対する納得度も高まるでしょう。また評価コメントは、評価結果にもとづき、どういった行動をすれば良いかを示す役割もあります。
少子高齢化および終身雇用が衰退した昨今において、人材確保に苦戦する企業も多いでしょう。人事考課コメントの質によっては、モチベーションダウンによる離職率増といった事態に陥る可能性があります。そのため、コメント内容には細心の注意が必要です。
従業員に人事考課コメントをする際のポイント
人事考課コメントは、従業員の今後を左右する重要な要素だとわかりました。従業員に人事考課コメントをする際には、以下のポイントを踏まえることが大切です。
行動を起こせる内容にする
上司からの人事考課コメントは、やる気を湧き立たせ、現状よりもステップアップできるよう促せる内容がベストです。次のステージにすすめるよう「行動を起こせる内容」にするには、以下の要素を満たす必要があります。
- 現状の自分を受け止められる(マイナスな内容を含む)
- 上司との信頼関係を維持できる
- 次の段階にすすみたいと思わせられる
上記を満たすためには、次で紹介する「具体性」「簡潔さ」「良い点・悪い点の双方を記載」「否定しない」のすべてを意識することが大切です。
具体性を意識する
コメントが抽象的だと、評価結果の内容がイメージしにくく、納得度にも欠けてしまいます。たとえば、「前回より良かった」と書かれていても、何がどれくらい良かったのかがわかりません。褒められていることはわかるものの、何に対して褒められているのかがわからず、評価された本人は腑に落ちないでしょう。
一方、「前回の人事考課時より、チームを意識した動きができており、個人売上も110%アップと着実に成果に結びついている」などと具体性を意識してコメントすれば、上司からの評価ポイントが明確になります。結果に対する納得度も高まるでしょう。
簡潔に記載する
だらだらと冗長的な文章を書いても、相手にはなかなか要点を伝えられません。さらには、「物事をまとめる能力に欠如する上司」という印象を与える可能性もあるでしょう。そのため、人事考課コメントを記載する際には、簡潔さを意識することが大切です。
簡潔に記載するために、箇条書きを用いたり、「経費を〇〇%削減できた」などと具体的な数値を入れるのもオススメです。また、「後輩と定期的にミーティングを開催したことが、後輩との信頼関係構築に役立ち、チームの生産性アップに結びついた」のように、具体例を出すことも簡潔さにつながります。
良い点・悪い点の双方を記載する
人事考課コメントで、「単に褒めるだけ」もしくは「単にマイナス面を書く」といった対応は不適切です。なぜなら、人事考課コメントでは、自身の長所・短所の双方を把握するとともに、本人の自発性や意欲を生じさせる必要があるからです。長所だけでは、現状維持で良いと思わせてしまうため、自発性につながりません。一方短所だけのコメントでは、意欲を消沈させてしまう可能性があります。
良い点と悪い点を記載する順番としては、「課題点→褒められる点」という流れがオススメです。最後にプラスな表現で締めくくると、ポジティブな感情になりやすいからです。
きつく否定しない
人事考課で伝える内容は、あくまで現状説明と課題解決策であり、行動や考えを否定するものではありません。「頑張りが足りない」などときつく否定するようなコメントは、本人にショックを与えるとともに、信頼関係にもヒビを与えかねません。否定する内容が「頭が悪いから何もできない」といった人格否定まで行なうと、モチベーションダウンや離職に大いにつながるでしょう。場合によっては、名誉棄損で訴訟を起こされる可能性もあります。
人事考課コメントで、改善点や問題点などのマイナス要素を伝える際には、事実にだけフォーカスすることが大切です。
人事考課コメント(上司・本人)の例文|職種別
ここでは、人事考課コメントの例文として、職種別の内容を紹介します。本人と上司のコメント例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
営業
営業職は結果を数字で表現できるため、コメントを書きやすい職種だといえます。数字で表現しにくい「日々の頑張り」などをコメントする際にも、具体性や定量さを意識すると良いでしょう。
【営業職:部下のコメント例】
今年度の目標である「前年の売上比110%」を達成できました。既存クライアントに対し、アップセルとクロスセルを意識し、実際に提案を続けたことが、勝因だと考えます。
【営業職:上司のコメント例】
目標を達成したことは、自身で思う通り、アップセル・クロスセルへの意識が関係しているでしょう。目標達成に向けて戦略を練り、目標をクリアしたことは素晴らしいです。今後は部下のマネジメントも行なってほしいと考えるため、チーム全体での売上獲得方法も考えられると尚良しです。後輩からの信頼も厚いので、この調子で頑張ってください。
事務
事務職は営業のように数字で表現しにくいため、成果をはかりにくい職種です。そのため、具体性や客観性を意識し、コメントをすると良いでしょう。
【事務職:部下のコメント例】
営業がクライアント様の訪問時に使用できるよう、営業資料を2パターン作成しました。営業とミーティングを重ね、どういった部分で課題を抱えているのかもわかり、普段の業務でもプラスアルファの提案ができるようになりました。今後は、別の営業資料も作りたいと考えています。
【事務職:上司のコメント例】
営業資料を見ましたが、クォリティが高く、営業チームへの愛を感じるものでした。実際に営業職から「資料が役立っている」との声を聞いており、商談からの成約率も昨年より10%ほど上がっているそうです。今後、営業と一緒に、クライアント様のもとに同行させてもらっても良いかもしれません。別の営業資料の作成も、期待しています。
サービス
サービス職は「お客様ありき」の仕事であるため、お客様への対応を主軸とし、コメントを行なうと良いでしょう。もちろん、チームメイトへの対応にも触れることも大切です。
【サービス職:部下のコメント例】
入社1年目で慣れない部分も多いですが、お客様に対して「常に明るく挨拶する」ことを意識しています。また、お客様にお困りの様子が見られれば、すぐにお声がけしています。今後はイレギュラーな内容にも迅速に対応できたら良いなと思いました。
【サービス職:上司のコメント例】
お客様への挨拶の意識は、私にも伝わっています。率先して挨拶する様子も見られるため、こうした部分はベテラン社員にも見習ってほしいです。イレギュラーな内容への対応でオススメなのは、先輩の動きを注視することです。今後外部研修の機会も設けるので、積極的に参加してもらえればと思います。今後も前向きさを大切にし、パワーアップする姿を期待しています。
適切なコメントで人事考課の効果を高めよう
人事考課で上司が適切なコメントをすることで、人事考課の効果が高まります。そのためには、ベースとして「人事評価自体を正しく行なう」ことが必要です。人事評価自体が正しく実施されなければ、コメントにもズレが生じてしまうでしょう。
人事評価を適切に行ないたい場合には、さまざまな業界・職種から支持されている、人事評価システム「ヒョーカクラウド」がオススメです。導入の容易さ・つかいやすさ・サポート体制にも定評があります。人事考課のコメントで迷った際にも、専任の担当者からのアドバイスが可能です。
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