3年に一度のペースで、介護報酬を含む介護保険制度が改定されています。2024年4月に介護保険制度が改正されると、介護報酬も見直されます。とはいえ、「何が変わるのか?」や「働く側はどういった対応が必要か?」など、わからない部分も多いのではないでしょうか?
そこで当記事では、介護報酬改定で何が変わるかをはじめ、注目ポイントや対応方法を解説します。介護職に携わり、介護報酬改定について不明点がある場合には、ぜひ当記事をお役立てください。
目次
そもそも介護報酬改定とは?
介護報酬改定とは、介護施設や機関の適切なサービス実施を目指し、3年に一度を原則として介護報酬を改定することです。介護報酬改定が実施されると、介護保険制度に関する部分に対し、介護サービスを事業者に支払う報酬内容が変わります。
改定では、その時代の経済情勢などを考慮し、適切な報酬や加算を決めることが特徴です。
【介護報酬】過去の改定内容
2024年4月の改定内容における比較材料として、2021年と2022年(臨時改定)の改定内容を紹介します。
2021年の介護報酬改定
2021年の改定では、新型コロナウイルスや大規模災害などに鑑み、感染症対策をはじめ、業務継続計画の実施が義務化されました。介護報酬においては、改定率が「プラス0.7%」と、わずかに変化します。
改定全体を通して、ICTやロボット活用による業務効率化や、医療現場と介護との連携強化などが推進されたことも特徴です。
2022年の【臨時】介護報酬改定
2022年の臨時改定では、介護職員のベースアップ等支援加算を新設し、職員の給与3%引き上げを目的としました。介護職員の処遇改善では、従来より「処遇改善加算」と「特定処遇改善加算」の2種類が存在します。2022年の臨時改定では、3つ目の処遇改善として「介護職員のベースアップ等支援加算」が設置された流れです。3つ目の処遇改善策を設置したことで、賃金への適切な反映が期待できます。
2024年の介護報酬改定に伴い変化する注目内容
2024年4月の改定では、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬が、一気に改定される予定です。
背景には、高齢者の急増と現役世代の減少問題があります。2024年の介護報酬改定では、以下のポイントに注目するとよいでしょう。
通所介護+訪問介護の複合型サービス創設
昨今では、高齢者だけの世帯が増加し、1人のみで暮らすケースも見受けられます。また、介護における家族負担も危惧されるなか、地域や状況に応じた柔軟な介護サービスが必要です。こうした背景をうけ、2024年の介護保険制度の改定では、通所介護と訪問介護をあわせた、複合型のサービス創設が推奨されます。
複合型サービスの創設によって、利用者への「細やかな生活支援の実現」や「身体面に気遣いながら、社会参加も期待できる」といったメリットがあります。事業者側にも、訪問や通所で、長時間においてトータル的なサービスを提供することで、細かなサポートを実施できるメリットがあるでしょう。
一方で、訪問と通所部門との「情報共有の難しさ」や「タイムラグ」などが挙げられます。
成果を重視する
従来の介護保険制度では、介護の環境整備(施設やスタッフ)および、プロセスを重視していました。しかし、介護保険制度が安定的になった昨今では、プロセスよりも成果が重視されつつあります。
人事評価においても、プロセスだけでなく、「どういった成果をあげたか?」にも重きが置かれます。つまり、人事評価制度を導入していても、プロセス面のみを評価する状態では、制度改定後に対応できなくなるかもしれません。2024年の介護保険制度改定にむけて、人事評価制度の内容も見直すとよいでしょう。
財務状況の公表
今までは、介護事業において「社会福祉法人」のみに、財務状況の公表が課せられていました。2024年の介護保険制度改定によって、株式会社や医療法人といった他の団体も、財務状況の公表が義務化されます。
改定によって、財務諸表などを形にする必要があるため、新たに会計士や税理士などに依頼する必要があるかもしれません。また、財務状況の公表によって、組織内の状況が公になる点も、デメリットと感じる可能性があります。仮に財務状況の悪化が表に出れば、利用者が減少する恐れもあるため、早急な経営改善が必要です。
介護報酬改定で組織が準備すべきポイント
上述で紹介した、介護保険制度の改定(介護報酬改定も含む)などを踏まえ、組織が準備すべきポイントは以下の通りです。
業務計画と実施体制
介護保険制度改定により、介護施設におけるBCPの策定が義務化されます。BCPは、事業続行計画と呼ばれることもあるでしょう。BCPとは、企業や団体が倒産・災害・感染症などの影響をうけても業務を継続できるよう、必要事項をまとめた方策です。
そのため、介護に関するすべての施設は、BCPの策定および運用方法を定める必要があります。厚生労働省によるガイドラインなども参考にしながら、然るべきBCPと実施体制の構築を行ないましょう。
組織内のIT化
介護業界はIT化が遅れていると言われるものの、まだ行動にうつしていない事業所も見受けられます。しかし、2024年の介護保険制度改定によって、行動にうつす必要に迫られるかもしれません。
なぜなら、制度改定によって「通所型+訪問型による複合施設の創設」がさけばれるからです。通所サービスのスタッフと訪問スタッフとの連携をとり、迅速かつ適切なサービスを実施するには、組織内のIT化が必要です。また、制度改定によって「成果を重視する」流れが推奨されるため、適切な評価を導くべく、人事評価制度のシステム化も視野に入れるとよいでしょう。
品質維持・向上に必要な労働力の確保
2024年の介護保険制度改定の背景には、介護サービスの品質維持・向上があります。制度変更によって、組織内ではさまざまな変更や対応が強いられるなか、一定以上のサービスを実施するには、適切な労働力の確保が不可欠です。
スタッフの離職率やモチベーション低下に悩む場合には、これらの問題に迅速に取り組む必要があります。離職率やモチベーション低下は、人事評価制度の導入や見直しによって、改善できるケースも見受けられます。
サービスを拡張できる展開体制
介護保険制度が改定されたあとも、定期的に制度変更は実施されるでしょう。2022年のように、時代の流れに応じて、臨時で改定が行なわれる可能性もあります。
迅速にサービス拡張ができるような展開体制をとっておけば、今後も制度の改定があった際に、慌てて対応せずに済みます。IT化を実施し、適切に労働力を確保できる体制をとっていれば、拡張が必要な時にもスムーズに対応できるでしょう。
介護報酬改定には適切な準備を
介護報酬改定によって、今まではアバウトにしていた部分も、適切に整備する必要があります。少なくとも、一定の品質を維持できる労働力確保・IT化はかかせません。
そこでオススメな手段が、人事評価システムの導入です。人事評価システム「スマイル評価 +クラウド package」は、介護業界からも支持を集める人事評価システムです。組織目標の達成にむけ、スタッフへの適切な評価・モチベーションアップが叶うのはもとより、人材育成・組織内の可視化・報酬への適切な反映にも役立ちます。
「組織目標をたてられない」や「何からはじめてよいかわからない」場合には、一から構築をサポートする「人事評価構築パッケージ」もオススメです。
介護報酬改定によって、組織力強化を目指したい場合には、ヒョーカクラウド・人事評価構築パッケージをぜひご検討ください。
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