人事評価システムは、現代の組織運営において不可欠なツールとなっています。効率的なパフォーマンス評価、目標設定、報酬管理、トレーニング、成長戦略の策定など、多くの重要な機能を提供します。
本記事では、人事評価システムの基本からメリットとデメリット、主な機能、選定方法、そしておすすめのシステム一覧まで詳しく解説します。
目次
人事評価システムとは
人事評価システムとは、組織内で従業員のパフォーマンスを評価し、報酬や昇進の決定、フィードバックの提供、トレーニングの提供、そして組織の目標達成に向けた戦略的な計画を支援するツールです。このシステムは、従業員の成果や行動を定量的および定性的に評価し、組織にとって最も価値のある資産である人材を最適に活用する手助けをします。
人事評価システムのメリット、デメリット
人事評価システムは組織に多くの利点をもたらしますが、同時に課題や制約も存在します。以下では、人事評価システムのメリットとデメリットについて詳しく説明します。
2.1 人事評価システムのメリット
2.1.1 公平な評価が可能になる
人事評価システムは、主観的な評価を減少させ、客観的かつ公平な評価基準を提供します。従業員は明確な評価基準に従って評価され、恣意的な判断から保護されます。これにより、公正さが向上し、従業員間の不平等感が軽減されます。
2.1.2 従業員の能力・スキルレベルが可視化される
人事評価システムは、従業員のスキル、強み、成果を定量的に評価するため、組織内の潜在的なリーダーや高パフォーマンスな従業員を特定するのに役立ちます。これにより、優秀な従業員の発見と育成が可能になります。
2.1.3 離職率の改善
公平な評価と成長機会の提供は、従業員のモチベーションを高め、離職率を低減させる要因となります。従業員は自分の成長とキャリア進展に期待を抱き、組織に忠誠心を持つようになります。
2.1.4 工数の低減、生産性の向上
人事評価システムは、評価プロセスを自動化し、従業員と管理者の労力を削減します。評価とフィードバックが効率的に行われるため、時間とリソースの節約に貢献し、生産性を向上させます。
2.2 人事評価システムのデメリット
2.2.1 システム導入に伴う作業・予算が必要
人事評価システムの導入には、システムの選定と導入、従業員トレーニング、データの移行など多くの作業が伴います。また、ソフトウェアライセンスや専門家のコンサルティング料金など、予算が必要となる点にも留意が必要です。
2.2.2 現在の人事評価シートをそのまま使えない場合もある
既存の評価シートやプロセスが新しいシステムに適合しない場合、変更やカスタマイズが必要となります。これにより、導入プロセスが複雑化し、時間とリソースが必要となる可能性があります。
2.2.3 社員に納得してもらうための説明が必要
新しい人事評価システムの導入時には、従業員への説明とトレーニングが不可欠です。従業員は変更に対して懸念や不安を抱くことがあるため、システムのメリットと目的を明確に伝えることが重要です。
これらのメリットとデメリットを考慮して、組織が最適な人事評価システムを選択し、効果的に導入することが重要です。
人事評価システムの主な機能
人事評価システムは、組織のパフォーマンス管理や従業員の評価を支援するためにさまざまな機能を提供しています。以下では、主要な人事評価システムの機能について詳しく説明します。
3.1 評価の自動集計・レポート化
人事評価システムは、従業員の評価データを自動的に収集し、集計・レポート化する機能を提供します。これにより、評価プロセスが迅速かつ正確に行われ、管理者は従業員の総合的なパフォーマンスを把握できます。また、集計されたデータは後で分析や報告に活用できます。
3.2 目標設定
人事評価システムは、個々の従業員やチームに対する目標設定を支援します。管理者と従業員は共同で目標を設定し、進捗を追跡します。目標設定機能は、個人の成長や組織の戦略的目標の達成に寄与します。
3.3 スキル管理、スキルマップ
人事評価システムは、従業員のスキルや能力を追跡し、スキルマップを作成するのに役立ちます。スキルマップは、従業員の強みや成長領域を視覚化し、キャリアプランニングに活用できます。また、スキル管理はトレーニングニーズを特定し、スキルの向上を促進します。
3.4 評価機能(MBO評価、コンピテンシー評価)
人事評価システムは、さまざまな評価方法をサポートします。これには、目標管理(MBO: Management by Objectives)やコンピテンシー評価が含まれます。MBO評価は従業員が設定した目標の達成度を評価し、コンピテンシー評価は特定の能力や行動を評価します。評価機能は評価基準を明確にし、評価の客観性を高めます。
3.5 従業員アンケート
人事評価システムは、従業員アンケートを実施するための機能を提供します。アンケートは従業員の意見やフィードバックを収集し、組織内の改善ポイントを特定するのに役立ちます。アンケート結果は評価に反映され、従業員満足度やエンゲージメントの向上に寄与します。
これらの機能は、人事評価システムが組織のパフォーマンス管理と従業員の発展を支援する方法の一部です。組織はこれらの機能を活用して評価プロセスを最適化し、成果を最大化することができます。
人事評価システムの選定方法、導入前に行うこと
人事評価システムを選定し、効果的に導入するためには、慎重なプロセスが必要です。以下では、人事評価システムの選定ポイントと導入手順について詳しく説明します。
4.1 人事評価システムを選ぶポイント
4.1.1 機能性
選定の際には、必要な機能がシステムに備わっていることを確認しましょう。評価、目標設定、フィードバック、報告などの機能が組織のニーズと一致しているかを評価します。また、将来的な成長に対応できる拡張性も考慮に入れましょう。
4.1.2 操作性
システムは従業員や管理者が使いやすい必要があります。デモ画面を確認し、ユーザーインターフェースが直感的であるかどうかを評価しましょう。使いやすいシステムは導入の成功につながります。
4.1.3 サポート体制
選んだシステムを提供する会社のサポート体制も重要です。問題が発生した際に迅速な対応が得られるかどうかを確認し、カスタマーサポートの品質を評価しましょう。
4.1.4 セキュリティ
従業員や組織のデータを保護するために、セキュリティ対策が適切に行われていることを確認しましょう。データ漏洩や不正アクセスを防ぐためのセキュリティプロトコルが整備されているかを重要視します。
4.1.5 費用
予算を考慮して、選定したシステムがコスト効果のあるものであることを確認しましょう。ライセンス料、カスタマイズ費用、サポート料金など、総コストを明確に把握します。
4.2 人事評価システムの導入手順
4.2.1 導入目的を明確にする
導入の最初に、なぜ人事評価システムが必要なのか、どのような目的を達成したいのかを明確にしましょう。組織の目標や課題に合致する目的を設定します。
4.2.2 導入目的に合った人事評価システムを洗い出す
目的に合致するシステムを選定するため、複数の候補を洗い出します。前述の機能性や操作性、コストなどを比較検討し、最適な候補を選びます。
4.2.3 価格や必要な機能に応じて選定する
予算や必要な機能に合わせて、最終的な選定を行います。コスト対効果を考慮し、システム提供会社と価格交渉を行うことも含まれます。
4.2.4 デモ画面を見ながら使いやすさを確認する
選定した候補のデモ画面を確認し、実際に使いやすいかどうかを評価します。ユーザー体験を考慮し、従業員がシステムを受け入れやすいかを確かめましょう。
4.2.5 運用ルールを決める
導入前に運用ルールを明確に定めます。評価プロセスの流れや評価基準、フィードバックの方法、スケジュールなどを徹底的に計画します。運用ルールを明確にすることで、評価プロセスが透明かつ公平に行われ、従業員にとっても管理者にとってもストレスを軽減することができます。
4.2.6 ユーザートレーニングを実施
導入前に、従業員や管理者に対するトレーニングを実施しましょう。システムの正しい使い方や運用ルールを理解し、従業員がシステムを効果的に活用できるようサポートします。
4.2.7 ピロット導入を行う
システム全体を一度に導入する前に、一部の部門やチームでピロット導入を行います。これにより、システムの問題点や改善すべき点を特定し、本格的な導入に備えます。
4.2.8 フィードバックと改善
システムの導入後、従業員や管理者からのフィードバックを収集し、システムの改善を継続的に行います。ユーザーの声を活用してシステムを最適化し、効果を向上させましょう。
以上の導入手順を遵守することで、人事評価システムの導入プロセスはスムーズに進行し、組織のパフォーマンス管理や従業員の発展に貢献します。慎重な計画と実行が成功の鍵となります。
中小企業におすすめの人事評価システム6選
ここではおすすめの人事評価システム6選を、特徴などもあわせてご紹介いたします。これらのシステムは、中小企業のビジネスニーズに合わせて設計され、信頼性と効果性が高いと評価されています。それぞれのシステムの特徴や機能、コンテンツをご紹介しますので、自社に合うサービス選びの参考にしていただけたら幸いです。
5-1.シーグリーン
シーグリーンは人事評価の構築から運用までを一括して利用できるクラウドサービスを提供しています。 人事評価制度の構築・クラウド化ができる「人事評価構築パッケージ」人事評価システム「ヒョーカクラウド・評価ポイント」、1on1運用サポート「1on1プロサポート」の3つのプログラムで、人事評価に必要な基準を一元管理・見える化し、企業と人が成長できる組織作りをサポートします。
特徴:
■低コストで課題に応じた評価・報酬制度まで構築可能。
■今まで紙・Excelで行っていた評価項目の設定やデータ分析などをすべて自動化。 独自のフォーマットで従業員の評価状況を一元管理し、工数削減。
■リアルタイムに評価を記録し中長期的な評価も効率的に運用することが可能。また従業員はクラウド内でリアルタイムに評価を確認できるため、モチベーション向上にも寄与する
料金プラン:非掲載
無料トライアル有無:〇
運営会社 株式会社シーグリーン
URL https://www.seagreen.co.jp/
5-2. SMARTHR(スマートHR):
SMARTHRはクラウドベースの人事・給与管理ソフトウェアで、中小企業向けに手頃な価格で提供されています。人事・労務業務を効率化しながら自然と蓄まった人事データを一元管理することで評価制度の設定やパフォーマンス管理を効率的に行えます。さらに、蓄まったデータを活かすことで、効果的で納得感のあるタレントマネジメントや組織のパフォーマンス向上へと繋げることができます。
特徴
■ペーパーレス化による業務の効率化
■自動でデータベースが更新されることにより従業員情報が自然に集約されるので、常に最新の人事データを一元管理できる
■わかりやすい操作性で、データ分析の知識がない人でも簡単に分析が可能。
■人事評価・組織課題の発見など、効果的で納得感のあるタレントマネジメントを支援。
料金プラン:
・HRストラテジープラン
・人事・労務エッセンシャルプラン(データベースに特化)
・タレントマネジメントプラン(マネジメントに特化)
無料トライアル:◯
運営会社 株式会社SmartHR / SmartHR, Inc.
5-3.MINAGIE(みんなの人事評価):
MINAGINE人事評価システムは、シンプルな人事評価制度をリーズナブルな価格で提供するワンストップ型人事ソリューションサービスです。社員の目標管理から評価のプロセスをクラウド上でに簡単に行え、短期間での構築・運用をアシストしてくれます。従業員100名前後までの企業向けに使いやすいサービスを展開しているため、中小企業にはおススメのサービスです。
特徴:
■制度構築・運用サポート・評価システムまですべてを提供。制度構築後の運用サポートや、運用を効率化するクラウドシステムまでサポート。
■3か月でシンプルな制度をスピード構築。通常半年から1年程度はかかる構築をシンプルにし、3か月で完了することが可能。運用しながらのブラッシュアップを計る。
■リーズナブルな価格帯。中小企業の場合、システム導入のネックになる価格。MINAGINEでは価格を抑えることでプロの人事評価制度の導入支援サービスを体験することを可能に。
料金プラン:192万円~
無料トライアル有無:不明
運営会社 株式会社ミナジン
5-4. HRBrain(HRブレイン):
「HRBrain 」は、幅広い範囲でサービスを提供するクラウドプラットフォームです。人事評価からタレントマネジメントに至るまでを幅広くカバーします。使いやすいUI・UXで、現場の人事業務を効率的にサポート。組織診断サーベイ、人事評価、労務管理、社内向けチャットボットなど、6つのサービスから構成され、人事業務の効率化から人材データの統合管理と活用までを一括で実現します。
特徴:
■初めての人でも簡単に操作ができるシステム設計
■既存システムや他社サービスとの連携が可能
■6つのプロダクトで様々な課題に対応できるサービスを提供
■充実したサポート体制
料金プラン:利用人数に応じた月額費用(非掲載)
無料トライアル:〇
運営会社 株式会社HRBrain
カオナビは、顔写真をベースに人材データを蓄積、管理する人材管理システムです。社員一人一人の情報を共有し可視化することで、人材育成や適材配置に役立ちます。プライバシーマークとISMS認証、ISMSクラウドセキュリティ認証を受けており、セキュリティ対策も万全です。
特徴:
■人材データをレーダーチャート化することで、スキルだけでなくキャラクターやモチベーションまでを管理共有できる
■エニアグラム等のデータ分析により適材適所の配置やパフォーマンス、エンゲージメントの向上を促進
■7年連続シェアNo.1のノウハウと専任サポート
料金プラン:初期費用+月額費用(利用人数によって異なる)
無料トライアル有無:◯
運営会社:株式会社カオナビ(英文 kaonavi, inc.)
5-6.あしたのチーム:
あしたのチームは、導入企業4,000社以上を誇る人事評価制度のクラウドサービスです。「人事制度構築・見直し」から「クラウドの導入・運用」までワンストップで提供し、人事課題の解決・組織成長を実現します。
特徴:
■「納得」の人材評価:評定や評価ランクが連動し、明瞭な人事評価が可能。さらにKPI策定・等級制度・報酬体系の設計までカバー。
■ペーパーレスで業務効率化:ステータスを一元的に可視化できるため、リマインドや個別メールなどの人事業務の工数を大幅に削減。さらに、評価者に代わってAIが蓄積されたデータから目標設定に関する問題点を指摘してくれるため、正確な目標設定が容易に。
■人材育成マネジメントの向上:会社全体を包括的に可視化することで、組織のシミュレーションが可能に。人材育成マネジメントがより簡単に行えます。
料金プラン:非掲載
無料トライアル有無:〇
運営会社 株式会社あしたのチーム
URL https://www.ashita-team.com/
以下は、中小企業向けに特に適したおすすめの人事評価システムの一覧です。
一覧表は以下の通りです。
シーグリーン | SMARTHR(スマートHR) | MINAGINE(ミナジン) | HRBrain(HRブレイン) | kaonavi(カオナビ): | あしたのチーム | |
会社名 | 株式会社シーグリーン | 株式会社SmartHR / SmartHR, Inc. | 株式会社ミナジン | 株式会社HRBrain | 株式会社カオナビ | 株式会社あしたのチーム |
サービス名 | 評価ポイント ヒョーカクラウド 人事評価構築パッケージ 1pro | SmartHR | みんなの人事評価 | HRBrainタレントマネジメント HRBrain組織診断サーベイ HRBrain360度評価 HRBrain労務管理 HRBrain人事評価HRBrain AIチャットポット HRBrainコンサルティング | kaonavi | あしたのチーム |
価格 | 月額30,000円~ | 見積もり | 初期費用200,000 円〜※制度構築とセットでご契約の場合0円月額1万円〜 | 見積もり | 見積もり | 見積もり |
サービス内容
シーグリーン | SMARTHR(スマートHR) | MINAGINE(ミナジン) | HRBrain(HRブレイン) | kaonavi(カオナビ): | あしたのチーム | |
評価シートの作成から集計 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
評価テンプレートを複数作成 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
評価内容一覧 | 〇 | 〇 | ||||
評価の進捗状況確認 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
評価の分布を可視化(評価シート集計) | 〇 | 〇 | 〇 | |||
システム操作レクチャー | 〇 | 〇 | 〇(使い方動画) | |||
MBO評価 | 〇 | 〇 | ||||
コンピテンシー評価運用 | 〇 | 〇 | ||||
OKR評価 | 〇 | 〇 | ||||
360度評価 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
目標・評価管理 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
従業員満足度調査・従業員エンゲージメント向上 | 〇 | 〇 | ||||
1on1レポート/支援 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
スキル管理(人材データの一元化) | 〇 | 〇 | 〇 | |||
API連携 | 〇(kintone) | 〇 | ||||
昇格シミュレーション | 〇 | 〇 | ||||
離職者予測 | 〇 | 〇 | ||||
運用サポート | 〇 | 〇 | 〇 | |||
システムのカスタマーサポート、ヘルプデスク | 〇 | 〇 | 〇 |
まとめ
これらの中小企業向け評価システムは、中小企業が人事プロセスを合理化し、従業員の関与を高め、成果を最大化するのに役立ちます。組織の規模やニーズに合わせて最適なシステムを選択し、導入することで、効果的な人材管理を実現できます。中小企業にとってコスト効率の良い選択肢であり、人事評価制度の構築と管理をスムーズに行えるでしょう。選定の際には、自社のニーズと予算に合ったシステムを選ぶことが重要です。
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評価ポイント導入事例一覧
この資料で分かること
業種別の事例効果をご紹介
- 製造・販売部門事例- 離職防止&従業員育成
- サービス部門事例- 考える力&主体性アップ
- 介護・看護部門事例- 評価意識向上&承認欲求
- 飲食店部門事例- 従業員満足度向上&ゲーム感覚