目標設定は、パフォーマンスの向上に欠かせません。とは言え、上手な目標の立て方で悩む人も多く見受けられます。
そこでSMARTの原則を活用すると、スムーズな目標設定が可能です。
当記事では目標設定に役立つ「SMARTの原則」を紹介するとともに、上手な目標の立て方も解説します。目標設定で悩む人は、ぜひ参考にしてください。
目次
SMARTの原則とは?
SMARTの原則とは、1981年にコンサルタントのジョージ・T・ドラン博士が提唱した理論です。現在では、世界中のビジネスパーソンが目標設定に活用しています。
またSMARTは、以下5項目の頭文字を組み合わせたものです。
・Specific:具体的
・Measurable:計測が可能
・Achievable:達成できる
・Relevant:関連づける
・Time-bound:期限が決まる
上記5項目にそってゴールを決めることで、明確な内容で目標設定ができます。さらに、上司から与えられるわけではなく、従業員自身が目標設定にかかわるため、モチベーション維持およびアップが可能です。
SMARTを使った目標の立て方を紹介
SMARTを使った目標設定では、「S」「M」「A」「R」「T」にもとづき、目標をたてていきます。
Specific:具体的
まずは目標を具体的にします。
具体的な内容にするには、誰がチェックしても同じ内容で認識できるよう、分かりやすい表現が欠かせません。
また、目標を達成するための明確な手段も検討します。
NGな例 |
もっと頑張って売上に貢献する |
OKな例 |
目標は1月から6月の売上が、トータルで600万円を越すことである。 目標を達成するために、1月は売上トップのA部長に営業活動への同行を依頼し、ノウハウを学ぶ。そのうえで、2月からは毎月20件以上の新規顧客を訪問する。 |
具体的に目標を設定することで、Sを差し引いた残りの「MART」もきちんと対応できます。
Measurable:計測が可能
具体的な目標を設定した後には、目標における達成度の計測が必要です。
職種が営業であれば、売上や新規契約数などによって、数値化がしやすいでしょう。
たとえば、「新規顧客を月平均10件獲得する」が目標であれば、実際に月平均が8件だった場合に、達成できなかったと分かります。また計測可能な状態であれば、以下のように具体的な対策案の作成が可能です。
月2件が不足した ↓ 自身の前年における月平均は6件だったので、成績自体は向上している ↓ やり方は間違っていないが、改善できる部分があったハズ ↓ 事務処理に時間がかかったので、営業時間が足りなかったのかも? ↓ 事務処理の効率化を目指すため、時間がかかる点を洗い出そう |
一方バックオフィスなど、実績を数値化しにくく、定性的な情報に頼りがちな部署も存在します。こうした部署の従業員には、オペレーションではなく「改善できたか?」といった面を注視することで、計測できる状態になります。
Achievable:達成できる
ビジネスに限らず、目標を達成できる可能性がないと、モチベーションが保てません。なぜなら、達成できる現実味がないと、人は行動しなくなるからです。
とは言え、容易に達成できる内容だと成長につながりにくく、本人も努力をしない可能性があります。理想的な目標は、本人がもう少し頑張れば「手が届きそう」という内容だと言えます。
NGな目標例 |
(新卒に対し)1年以内に営業5年目と同様の売上を達成する |
OKな目標例 |
(新卒に対し)電話やDMなどを使い、毎月30件の顧客とコンタクトを取る |
理想と現実をしっかりと見極めることで、本人の努力によって達成できる目標を作成できます。
Relevant:関連づける
上位組織である「部署」や「会社」の目標と、自身の目標は関連する必要があります。目標が自分にしか関係なく、上位組織の目標と紐づかない場合には、再考が必要です。
上位組織と自分の目標を関連づけるには、以下を意識すると良いでしょう。
・自分の目標が、上位組織にどのように貢献するか?
・リンクした目標が、なぜ自分に必要なのか?
また上位組織と自分の目標が、自身の価値観とも一致すると、モチベーションを保ちやすくなります。
NGな目標例 |
(IT系企業の事務職が)スキルアップを目指すため、宅建の資格を取得する ↓ 【解説】不動産関係の事務職であれば役立つものの、IT業界では役にたちにくいと言えます。 |
OKな目標例 |
(IT系企業の事務職が)自身のスキルアップと会社への貢献を目指すため、ITパスポートの資格を取得する ↓ 【解説】ITパスポートはITの基礎を習得できるため、IT系企業で働く多くの人に役立ちます。 |
Time-bound:期限が決まる
最後に、目標達成するまでの最終期限と、目標達成に必要な時間を決めます。その際には、現状のスキルを踏まえ、ゴールから現在までの逆算が必要です。
また期限を設定する際には、第三者が「妥当だ」と感じる内容にします。
NGな設定例 |
(営業経験1年目の人が)1年後までにトップセールスになる ↓ 【解説】可能性はゼロではないものの、一般的には「営業経験1年目の人が1年後にトップセールスになる」のは無理だと認識されます。 |
OKな設定例 |
(営業経験1年目の人が)1年後には20人中15位以上になる。 ↓ 【解説】20人中15位であれば、頑張れば達成できる可能性があります。 |
SMARTを応用した3つの新しい目標設定方法
SMARTの原則は多くのビジネスパーソンが活用しているものの、提唱されてから40年以上経過していることから、新たなバージョンも発案されています。
ここではSMARTを応用した「新しい目標設定方法」も紹介するため、自社の状況によっては、こうしたバージョンを使用しても良いでしょう。
SMARTER
SMARTERは、SMARTに「E」と「R」が加わったものです。
「E」と「R」は、以下の頭文字から取りました。
・Evaluated(第三者の評価)
・Recognized(認められた)
SMARTに「E」と「R」が加わることで、目標設定の際に「上司から評価され承認される」ことを指標としています。そのため、「上層部の方針と目標内容が合っているか?」や「目標が組織の方向性と異なっていないか?」を重視したいケースで効果的です。
SMARTTA
SMARTTAは、SMARTに「T」と「A」が加わったものです。
「T」と「A」は、以下の頭文字から取りました。
・Trackable(追跡が可能)
・Agreed(合意した)
SMARTに「T」と「A」が加わることで、今までの行動を追跡した結果、目標への到達度やプロセスについて「どれくらい結果に結び付いているか」が検証できます。
またAgreedで合意について触れているため、目標を達成する際にかかわったメンバーが「納得しているか?」についても指標とする点が特徴です。
そのため、多くのメンバーとの協力が不可欠な従業員に対して、効果的な目標設定方法だと言えます。
SMARRT
SMARRTは、SMARTに「R」が付け足されたものです。
以下の頭文字を取りました。
・Realistic(現実的)
SMARTにもう1つ「R」が加わることで、現実的かどうかが重要視されます。SMARTのAchievable(達成可能)が、より重要視された内容だと認識すると分かりやすいでしょう。
SMARTよりもSMARRTの方が、より具体的かつ合理性のある目標をたてられるため、従業員の意欲を高めやすいと言えます。
また目標の達成には、人事評価システムを使って「1on1」を効果的に行うこともオススメです。
まとめ
SMARTの原則にそった目標は、具体的かつ達成可能な内容になります。また上位組織の目標とリンクさせつつ、期限も決められていることが特徴です。
状況によっては、SMARTの原則における派生版である「SMARTER」「SMARTTA」「SMARRT」も活用すると良いでしょう。
また目標を設定して終わりではなく、管理・運用する必要があります。人事評価システム「ヒョーカクラウド」の1on1ミーティング機能を活用すると、設定した目標を上司や関係者と共有することも可能です。
共有することで、「適切なアドバイスの提供」や「問題の早期発見」にいたります。また情報を一元化できることで、評価の際にスムーズな活用が可能だと言えます。
スムーズな目標設定/管理・運用を目指したい人は、ぜひヒョーカクラウドをお試しください。
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