貴社では、従業員の評価を適切にできていますか?人材不足の昨今において、適切な評価を実施することは重要です。
なぜなら従業員のモチベーションを高め、離職も防止できるからです。ひいては、企業の発展にもつながります。
そこで今回は、適切な評価をしたい企業に向けて、評価方法の1つである「360度評価」を紹介します。成功へのポイントや導入方法も説明するため、人事担当者様はぜひお役立てください。
目次
360度評価(多面評価)とは?
まずは、360度評価について解説します。360度評価は以下の特徴をもつため、多面評価とも呼ばれます。
特徴1:多くの社員が評価をする
従来は、上司が部下を評価することが一般的でした。しかし360度評価では、上司だけではなく、部下/同僚などからも評価をつけられます。
特徴2:自分自身でつけた評価も含まれる
360度評価には、周囲からの評価ではなく、自分自身でつけた評価も含まれます。そのため、周囲からの評価と自己評価を比較することで、気づきがあるケースも多いです。
コロナ禍で360度評価が注目をあびる理由
360度評価はアメリカが発祥であり、日本では1990年頃から導入する企業が増えました。
また昨今のコロナ禍では、360度評価が以下のように注目をあびています。
~コロナ禍で360度評価が注目された流れ~ |
・リモートワークが普及し、社員が別の空間で働く機会が増えた ↓ ・離れた場所から、各社員を公平に評価する方法が必要になる ↓ ・結果だけではなく、プロセス/行動も重視する「360度評価」が注目される |
従来において、多くの企業で導入されていた評価方法は、上司の判断にもとづくものでした。
しかしリモートワークが普及したことで、上司が部下を常に見られないため、上司だけの判断だと不公平さが生じます。
また結果にフォーカスした評価方法だと、各自が結果を出すことに集中するため、社員同士の関係悪化にもつながりかねません。
こうした背景から、新型コロナウイルスの蔓延によって、多くの社員を多面的に判断できる360度評価に注目が集まっています。
360度評価を導入するメリット/デメリット
ここでは、360度評価を導入するメリット/デメリットについて解説します。両者を把握することで、導入可否の判断材料になるでしょう。
メリット
360度評価を導入するメリットは、以下の通りです。
★公平に評価ができる
評価は公平であることが望ましいものの、人間が判断する以上、多かれ少なかれ「好き・嫌い」の感情も含まれます。また、人によって捉え方も異なります。
そのため、特定の上司が評価をすると、公平な評価は難しいと言えます。
例:物静かな社員Aさんへの評価 |
【上司Bさんの意見】 ・主張が少なく、柔軟性のある人 【上司Cさんの意見】 ・主体性がなく受け身な人 |
多くの人が多面的に評価する「360度評価」であれば、1人の意見に偏らないことから、公平に評価ができます。
★自分では気づかなかった長所・短所が分かる
360度評価を実施すると、自分では気づかなかった長所・短所が分かることもあり、新たな可能性の拡大につながります。
気づきがある理由は、多くの人から豊富な情報が得られるため、自身の特徴が可視化できるためです。
自分では気づかなかった長所をいかしつつ、短所をカバーする努力の実施で、今後の飛躍が期待できます。
★モチベーションを高められる
360度評価は以下の理由から、社員のモチベーションを高められます。
【理由1】:正当な評価をしてもらえる
多くの人から評価をされるため、偏った意見を避けられるうえに、客観的な意見が手に入ります。そのため、正当な評価が期待できます。
日頃から頑張っている人には、相応の結果が反映しやすいことも特徴です。
【理由2】:多くの人が関わるため、満足感や自己肯定感が高まる
人は自分に興味を持ってもらうと、嬉しく思います。そのため、多くの人に評価されること自体が満足感につながると言えます。
また良い評価内容を聞くことで、周囲から認められている部分が分かるため、自己肯定感も高まります。
デメリット
一方で、360度評価を導入するメリットは以下の通りです。
★評価を気にするあまり、行動に制限がかかる
360度評価を導入すると、良い評価の獲得を目指すため、行動範囲が狭まることもあります。また上司も、部下からの評価を意識するあまり、必要なことを言わない可能性も出てきます。
そのため社員に対し「360度評価は昇給に影響しない」などと、明確な提示が必要です。
★不正が発生することがある
360度評価では、以下の理由から不正が発生することがあります。
・自分に「良い評価」をつけてもらうために、関係者への評価を甘くする ・身バレを恐れて、当たり障りのない内容にする ・関係者と口裏を合わせて、評価を甘くする |
上記のような不正が行われると、正しい評価はできません。そのため、360度評価を昇給/昇格に結び付けないことや、個人を特定できない配慮が必須です。
★場合によっては客観性に欠ける
360度評価に慣れていない人や、本質を分かっていない人が評価すると、以下のように客観性に欠けることがあります。
・好き/嫌いの感情だけでコメントをする ・評価に関係のない「無意味なコメント」が集まる |
そのため、事前に360度評価の目的を伝えることや、一定のルールを設けるなどもオススメです。(※一定のルールに関しては、次項をご参照ください。)
360度評価の導入手順/成功への方法
続いて、360評価の導入手順や成功への方法を解説します。以下に挙げる「導入手順」を参考にし、社内のシステム作りにも役立ててください。
手順 1、導入する目的の明確化
360度評価を成功させるためには、導入する「目的の明確化」が欠かせません。中途半端な状態で実施すると、人間関係の悪化やモチベーション低下の恐れがあるためです。
また目的を明確にしても、その旨を社員に伝えなければ、意味がありません。
以下に例を挙げるため、自社で360度評価を導入する目的について、明確にしましょう。
~360度評価を導入する目的の例~
・風通しの良い会社を目指したい
・コロナ禍でも、正当な評価を実現したい
・人材育成の参考にしたい
手順2、運用ルールを設置
360度評価を成功させるためには、運用ルールの設置が必要です。そうすることで、不正な評価の防止や、客観性に欠けるコメントを排除できます。
以下を参考にし、自社に合った運用ルールを設置しましょう。
ルールへの設定項目 | 内容 |
評価項目 | 設置する評価項目について、具体的な種類および内容を決めます。 (例)課題把握力/業務遂行力/人材育成能力/コミュニケーション能力など |
具体的な 評価者 | 人数の少ない会社であれば、社員全員で評価することもあるでしょう。 ある程度の人数がいる会社では、関係部署の社員を評価者とする傾向にあります。 |
フィードバックの方法 | フィードバックは必ず実施しましょう。デリケートな内容なため、個人面談を実施する企業も多いです。フィードバック担当者には研修を実施することもオススメです。 |
評価の影響する範囲 | 360度評価結果が、影響する範囲をはっきりさせます。 昇給/昇格への影響は、社員が最も気になる部分だと言えます。 |
手順3、評価方法を決定
評価する方法を、自社の目的/状況にそって選びます。例えば、webによるアンケート形式かや、紙への記述などが挙げられます。リモートワークを実施する企業では、webでの実施がスムーズでしょう。
ヒョーカクラウドを使用すると、360度評価の運用がスムーズであり、人事担当者の負担も大幅に減ります。また導入後のサポートも手厚く、360度評価を導入したばかりでも、安心して使用できます。
人事評価システム第1位【ヒョーカクラウド】|株式会社シーグリーン
また匿名/記名かについても、ルールを決めます。匿名であれば、言いにくいことを記載しやすいものの、場合によっては伝えられないような内容が集まる可能性もあるでしょう。
記名での評価方法を実施する場合には、本人の特定ができないよう、最大限の配慮が求められます。
手順4、社員への周知を実施
360度評価の導入が決まったら、社員への周知を必ず実施します。
周知をしないと「一体何をするのだろう?」と不審に思われる可能性があり、協力してもらえないといった問題が発生するでしょう。360度評価の成功には、社員からの協力は欠かせません。
最低でも以下の項目は、周知しましょう。
・運用ルール
・導入の目的
・実施する時期/期間
・評価の影響する範囲
まとめ
適切な評価をするために、360度評価は有効だと分かりました。とは言え、曖昧な状態で開始すると、適切に評価はできません。
360度評価を成功を目指させるには、当記事で紹介したポイントを参考にしつつ、しっかりと開始前の準備を行うことが大切です。
適切な評価は、企業の発展につながります。360度評価をうまく取り入れ、組織の活性化/向上を目指しましょう。