1on1ミーティングを行う16の効果を徹底解説! 部下・上司・組織に与える変化とは

「1on1ミーティングにはどのような効果があるの?」
これは組織に1on1ミーティングを導入する上で、必ず聞かれる質問です。よく考えればわかる質問ですが、いきなり聞かれると答えに窮してしまう方もいるのではないでしょうか。

1on1ミーティングの効果は、1on1ミーティングを管理する一部の人事担当者や経営陣の実が理解すればいいわけではありません。組織内の誰もが1on1ミーティングの効果について理解し、他者に的確に説明できる状態にする必要があります。

そこで今回は、1on1ミーティングに関する複数の書籍を元に、1on1ミーティングの導入効果を網羅的に紹介します。この記事を読めば、1on1ミーティングの効果に関する全体像を迅速につかむことができますよ。

1on1ミーティングの効果は、「全員の理解」が必要不可欠


なぜ1on1ミーティングの効果について、組織内の誰もが理解しなければならないのでしょうか。

1on1ミーティングは、経営陣や人事担当者の目を離れた所で行われます。そのため、1on1ミーティングの管理者側は、現場で実際にどのような1on1ミーティングが行われているかを原則知ることはできません。当日の進行は上司および部下の方々にお任せになります。

そのため、上司および部下の方々が1on1ミーティングの意義や効果、価値について腹落ちしている必要があります。そうでなければ1on1ミーティングは形骸化し、時間を浪費するばかりになってしまうからです。

したがって、会社の経営陣や人事担当者はもちろん、実際に1on1ミーティングを実施する上司・部下まで、全ての社員が1on1ミーティングの効果について理解する必要があります。

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1on1ミーティングの効果は3分類


1on1ミーティングの効果は、大きく以下の3分類に分けることができます。

  • 部下への効果
  • 上司への効果
  • 組織への効果

ここからは、1on1ミーティングの効果について確認をしていきましょう。

部下への効果


1on1ミーティングの主体は部下であり、部下の課題解決や成長のために開催されます。

効果① 定期的な仕事の振り返りを通じ成長できる

昨今は業務の難易度や複雑性も上がり、多くの人が日常業務に忙殺されてしまうため、業務の振り返りや改善策の検討をおろそかにしてしまいがちです。そのような状況が続くと、何度も同じ過ちを繰り返してしまうことにもつながりかねません。そのため、定期的に仕事の振り返りや学びの棚卸しを行うことはとても重要です。

1on1ミーティングは、一般的に2週~1ヶ月に1回程度の頻度で行われます。このような比較的高い頻度で現状を俯瞰し、改善策を検討するといったPDCAサイクルを高速に回すことで、加速的な成長が期待できます。

効果② 適切なタイミングで具体的なフィードバックをもらえる

上司と部下とのコミュニケーションの場として、半年に1回などのタイミングで評価面談の場をひらいている会社も多いはず。ですが、半年に一度では、フィードバックも大まかな内容になりがちです。

1on1ミーティングでは、たとえば「昨日部下が行ったこと」や「明日行おうとしていること」について、上司から意見やフィードバックをもらうことができます。適切なタイミングで、具体的で詳細なアドバイスやフィードバックをもらえるため、即座に仕事に活かすことができます。

効果③ 情報共有や相談をタイムリーに行える

上司の方は基本的に忙しいものです。そのため仕事の相談や情報共有がしたくても、なかなかタイミングが合わなかったり、遠慮してしまったりこともあるでしょう。しかしそのようなすれ違いや遠慮が続くと、案件が取り返しのつかないほど炎上してしまうことも。

1on1ミーティングを導入すれば、定期的に仕事の情報共有や相談の時間をあらかじめ確保することができます。

効果④ 心理的安全性が高まる

1on1ミーティングでは、上司が部下に叱責をするようなことはほぼありません。部下は上司に対し、ざっくばらんに悩みを相談できるのです。これにより、普段の業務や職場においても安心しながら、のびのびと働けるようになります。

効果⑤ キャリア設計ができる

1on1ミーティングにおいて、「部下のキャリア設計に関する話題」は主な話題のひとつです。

1on1ミーティングを有効活用すると、自身のキャリアに関する話題を率直に相談できるようになります。「今行っている業務や取り組んでいる目標が、今後どのようなキャリアにつながるのか」が明確になり、仕事にもますますやる気が出るはずです。

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上司への効果


1on1ミーティングの主体は部下ですが、最もその恩恵を受けるのは上司の方かもしれません。

効果⑥ 仕事のトラブルを未然に防げる

1on1ミーティングには、部下の抱える案件の炎上を防ぎやすくなる効果もあります。なぜなら定期的な仕事の相談時間があらかじめ確保されているからです。部下の方が自ら気づかない火種も、1on1ミーティングを通じ確認していくことで、事前に察知しやすくなります。

効果⑦ マネジメントに役立つ部下の情報が手に入る

部下の健康状態や家庭の状況、キャリアへの考えなどの情報は、率直には聴きにくいですがマネジメントの役に立ちます。

実は部下に関するこのような情報は、1on1ミーティングを通じ得やすいのです。一対一のクローズドな環境で上司が傾聴することにより、部下が心をひらき、個人的な情報を話してくれることがあります。

効果⑧ 部下を信頼できるようになる

1on1ミーティングを重ねると、部下の思考回路が理解できるようになります。置かれた状況でどう感じ、どう振る舞ったかについて話を聞けるからです。そのため、上司は部下に仕事を任せた場合の予測ができるようになります。つまり、仕事を信頼して任せることができるようになるのです。

また、上司も部下もお互いの深い部分を自己開示しあうプロセスを通じ、絆が生まれ信頼関係が育まれます。

効果⑨ 部下のモチベーションが高まり、才能を発揮できる

1on1ミーティングは部下のモチベーションアップに寄与します。

1on1ミーティングを通じモチベーションを上げるには、大きく以下2つの手段があります。

  • マイナス要因を取り去る
  • プラス要因を高める

マイナス要因を取り去るには、心身の健康や仕事の負荷などを確認する、不満やモヤモヤしていることを聴き切るなどの方法があります。

プラス要因を高めるには、1on1ミーティングを通じ部下をほめたり承認したりすることが有効です。

効果⑩ 部下が自発的に行動するようになり、仕事がラクになる

これが上司にとっての1on1ミーティングの最も大きなメリットと言っても過言ではありません。

有効な1onミーティングを重ねると、部下は上司の意見を聞かずとも、自分で適切な判断を行い、行動できるようになります。結果的に、1onミーティングで部下に費やす時間よりも、節約できる時間の方が多くなるのです。

効果⑪ ダイバーシティやインクルージョンの視点が学べる

複数の部下に1on1ミーティングを重ねると、いかに人の考えが多様であるかに気づくでしょう。このプロセスから、人材の多様性(ダイバーシティ)や、多様性を包括し活かすこと(インクルージョン)といった、近年重要性が増している視点を学ぶことができるのです。

効果⑫ 自身のキャリアの振り返りにもなる

部下のキャリア相談を行う上で、上司自身のキャリアを振り返り、棚卸しすることになるでしょう。自身の成長のトリガーは何だったのか、仕事が辛い時にどのように乗り切ったのかなどを思い出し、相手に伝えられるようにすることは、マネージャーとしての成長にもつながります。

効果⑬ 上司のマネジメントスキルが伸びる

1on1ミーティングのプロセスは、そのまま日常業務において部下をマネジメントする上でも役に立ちます。1on1ミーティングを通じ、人の心理的安全性を作り、能力や才能を引き出し、鼓舞するスキルを習得できるからです。

組織への効果


上司と部下とのコミュニケーションが改善され、能力が引き出されることで、組織全体にプラスの効果が生まれます。

効果⑭ 休職や退職が減る

有効な1on1ミーティングを重ねると、上司が部下の業務過多や体調不良に気づきやすくなります。また、部下のストレスの大きな原因のひとつである、上司との人間関係も改善されることが期待できます。

これにより、会社全体の休職や退職が減る効果が期待できるのです。

効果⑮ 社員全体のパフォーマンスが高まり業績の向上につながる

これまで説明したように、1on1ミーティングは部下の才能や能力を解放し、上司のマネジメントスキルを高める効果があります。

これにより、社員全体のパフォーマンスが高まり、結果として業績の向上が期待できるのです。

効果⑯ 会社の理念や戦略が浸透しやすくなる

近年、企業の経営戦略や理念を社員全体に浸透させることの重要性が高まっています。経営戦略や理念が会社の差別化要因となり、顧客に与える価値やサービスの品質を大きく変えるからです。

1on1ミーティングは、上司から部下への経営理念や企業戦略の伝達と議論に使うこともできます。1on1ミーティングを使えば、社員一人ひとりに腹落ちするまでコミュニケーションを取ることができるのです。

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理論と実践を行き来しながら、根気強く説明しよう


今回の記事では1on1ミーティングを行う13の効果について解説しました。

今回紹介した1on1ミーティングの効果は、あくまで理論です。そして1on1ミーティングの効果は、実践を繰り返すことで次第に実感値を持って理解できます。

しかし1on1ミーティングを導入したばかりの組織にありがちなのは、効果が実感できる前にやめてしまうことです。そのため、実際に効果が体感できるまでは、ここで紹介した1on1ミーティングの効果や意義を、根気強く説明・発信し続けてくださいね。

【参考】ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法 | 本間浩輔 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon
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