昨今注目されている1on1ミーティング。「社員が意欲的になった」「社内の雰囲気が変わった」「社員の潜在能力を活かすことができるようになった」など、1on1ミーティングの効果を耳にする機会が増えた方もいるのではないでしょうか。
また、「転換期だからこそ、うちでもトライしてみたい」「部下のモチベーションを上げられるのではないか」と、導入を前向きに検討されている方もいらっしゃるかと思います。
その一方で、いざ導入するとなると「時間と労力だけがかかることにならないだろうか」「ダラダラとした雑談の時間になってしまわないだろうか」といった不安を覚えることもあるでしょう。
新しいことを始めようとする際に慎重になるのは当然です。しかし、導入前にやり方を確認することで、自分の会社にあった方法を選ぶことができるはずです。
そこで今回は、1on1ミーティングの効果的な進め方とそのコツについてご紹介します。
目次
効果的なやり方・進め方
1on1ミーティングの効果的な進め方のポイントは以下の4点です。
- 1on1ミーティングを行う目的を確認
- 開催するペースと初回の日時、場所を決定
- 話したい内容と質問項目を準備
- 記録を共有
1on1ミーティングを行う目的を確認
1on1ミーティングの行う目的は明確です。それは“部下をサポートする”ことです。
部下が必要とするサポートを提供するためにはまず、部下のことを知ることが大切です。しかし、かつてのように勤務時間後に部下と居酒屋でコミュニケーションをとる機会は現代では少なくなってきました。
とはいえ、部下の望んでいることを知り、部下が働きやすい職場にしていきたいと考えるのが上司の役目です。会議の時間も短縮する傾向にある中、部下の言葉を直接聞ける場は減ってきていることでしょう。だからこそ、1on1ミーティングに取り組む意義が高まっているのです。
なお、1on1ミーティングがただの面談になってしまっては、これまでの人事評価の面接と変わりがありません。もしくはただの雑談になってしまっても、仕事の時間が奪われるだけです。
したがって効果的なミーティングを行うには、1on1の意義を知り、目的を充分に理解して納得してから始めることが大切です。
1on1ミーティングの目的は、短期的なものではありません。中長期的な視点から部下の成長や会社の発展を考えることが必要です。そして、その目的を上司だけではなく、部下本人にも理解してもらうことが大切なのです。
開催するペースと初回の日時、場所を決定
1on1ミーティングを開催する上で最初にすべきことは、「いつ」「どこで」するのかを決めることです。……このように聞くと、当たり前のことのように思えるかもしれません。ですがこの「いつ」「どこで」を決めることが、案外難しいものなのです。
中長期的な視点で行うのですから、一度きりではなく定期的に行う必要があります。日々の忙しい業務の中では、この中長期な視点での取り組みは優先度が低くなることが多々あります。しかし、1on1ミーティングを導入すると決めたからには、スケジュールの中に定期的に組み込むことが求められます。
では、定期的に開催できる時間をいつ確保できるのでしょうか。それは会社によって異なります。
一般的には午前よりも午後、週の始めよりも週の半ばである水曜日や木曜日に開催する会社が多いようです。毎週行うのか、隔週で行うのか、月一回の開催とするのか、間隔も決めましょう。
なお、「随時」としてしまうと、自然消滅的にやらなくなることがあるので注意が必要です。
実際の効果を考えると、定期開催の間隔は隔週までが良いでしょう。1回の長さは、一般的には30分から60分の場合が多いようです。ただし毎月1回開催で60分など期間を空けて長くするよりも、隔週開催の30分のほうが効果的です。
特に、導入当初は会話を深めていくのにある程度の時間が必要です。信頼関係ができてからは、徐々に短くしていくことも可能でしょう。
「どこで」も重要です。まず、会話の内容が周りに漏れない空間であることが必須となります。また、面接のようにかしこまった雰囲気でない、静かでリラックスできる空間が最適です。
「早く自席に戻って仕事をしたい」と思わせない空間であることも求められます。そのためには、通常の業務で使用している備品やパソコンなどがない空間を選びましょう。そのような部屋を用意できない場合は、パーテーションなどを利用して目隠しをすることをおすすめします。
加えて外が見える窓があればベストです。また仕事に直結しないリフレッシュできる小道具、例えば造花ではない花などを用意することも効果的ですよ。
話したい内容と質問項目を準備
貴重な時間を有効に使えるよう、上司の方は部下の方に「何を話したいか」「何を聞きたいか」を考えておくよう、事前に伝えましょう。
なお1on1ミーティングにおいては、上司は部下の要望に沿って進行することが求められます。ですが、部下側からの提案が何もなかった場合や会話が深まらなかった時に備えて、部下の現状を思い浮かべ、事前に話題や質問内容を想定しておくことを推奨します。
実は上司にとって、この部下の現状を思い浮かべる時間こそが価値ある時間となります。問題を抱えている社員のことは否が応でも考えられているはずですが、そうでない社員のことは日常的に考える機会が少なくなりがちだからです。
1on1の機会に部下一人ひとりを思い浮かべることで、組織の全体像も把握できます。そうすることで、上司である自分が組織の中で何を求められているのかがよく見えてくるのです。そうして組織に欠けている点に気づくことができたならば、1on1ミーティングで進むべき方向性も見えてきます。
また、リーダーは組織の状態によって求められる役割が異なります。それを心理学では状況適合理論と言いますが、集団が持っている特性と、直面している状況とを正確に把握するためにも1on1ミーティングは有効なのです。
記録を共有
1on1ミーティングを実施したままにはしないでください。受験の模擬試験も解きっぱなしでは成績を上げることはできないように、見直すことが大切なのです。どのような内容の会話がなされたのか、都度記録をとり、後で振り返ることをおすすめします。
そして、この記録は上司と部下の双方が見られるようにしておくと良いでしょう。そうすることで互いの認識に齟齬が生まれることを避けられ、また、双方の記憶を呼び戻すためのツールにもなります。
なお、ミーティングすることが目的であるため、記録に時間をかける必要はありません。簡単なメモでも大丈夫です。
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詳細はこちら1on1ミーティングは継続が大事
1on1ミーティングはすぐに効果を実感しにくいため、疑問や不安が生まれてくることがあるかもしれません。ですが、継続していくことで職場でのコミュニケーションの変化に気づくはずです。ぜひ継続を心がけてください。
なお、どうしても抜けられない仕事や体調不良などで開催できなくなった場合は、必ず次回の開催日をできるだけ近い時期に設定してください。上司のそのような態度が、部下が1on1ミーティングの重要性を認識していく一歩にもなるのです。
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