年功序列と終身雇用という会社のあり方が崩れてきた現在、「1on1ミーティング」を導入する企業が増えてきました。能力主義・競争社会の傾向が強くなった時代だからこそ、部下のサポートに有効な1on1ミーティングの重要性は増しています。
部下からの投げかけに応えていくのが、1on1ミーティングの成功の秘訣です。ですが、話下手な部下の場合には、会話の糸口となる質問が重要です。同じ質問内容であっても、聞き方一つで部下が受け取る印象は違ってきます。
信頼関係があってこそ、サポートは効果的に作用します。信頼関係を深めながら、有意義な時間となる1on1ミーティングとはどんなものなのでしょう。具体的にどんな質問項目を用意しておけば、スムーズに進むのでしょうか。
そこで今回は、1on1ミーティングで話すテーマごとに、具体的な質問例をご紹介します。
目次
具体的な質問項目の例
3つの視点で質問例をご紹介します。
- 業務や組織に関連するテーマでの質問例
- キャリアに関連するテーマでの質問例
- プライベートに関連するテーマでの質問例
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詳細はこちら業務や組織に関連するテーマでの質問例
はじめて1on1ミーティングを導入するのでしたら、やはり話題は業務に関することが最適でしょう。
部下の中には、上司と二人という状況に苦手意識があるかもしれません。そういう部下にとって、最初からプライベートな話題に触れられることや将来のキャリアについて持ちかけられることは壁を感じるはずです。
しかし、業務に関することや組織に関することであれば仕事の延長線で考えられるため、上司と二人という状況に対しての心理的壁は低くなります。
業務や組織に関連する質問をする際には、枝葉にこだわらず、俯瞰的かつ長期的な視点から質問することが大切です。
具体例1:「最近任せている○○○の業務で、進めていく上で急ぎではないけど、いつか改善していくべきだと考えていることはある?」
業務の中で緊急性の高い問題は、通常業務の中で共有されているはずです。しかし、緊急性が低い問題となると、上司の耳には届かないことも多くあります。そんな緊急性の低い問題の中にこそ、致命的な問題に発展しうる火種であったり、人間関係のこじれを産む難題が潜んでいたりするものです。
現場に潜む小さな問題は、上司の立場からは見えにくいでしょう。また見えたとしても、表面化するまでは上司から介入しにくいものです。
しかし、小さな問題だからと放置せず、上司が積極的に聞く姿勢を見せることで、部下が自ら解決の方法を模索していきます。“聴く”ということが、1on1ミーティングで大切なことです。上司は解決法を誘導するのではなく、部下の思考に寄り添ってフォローしてください。
また、「最近任せている○○○の業務で」と前置きをつけることで、部下は例示された業務を頭の中で反芻することができます。
もしその業務がスムーズにいっている場合には、他のスムーズにいっていない業務を思い浮かべるでしょう。部下が「@@の業務ではなく、別の業務なのですが、」と語り出したときは、「教えてくれるかな。」と話し出しやすい空気で迎えてください。
具体例2:「うちの会社が、他の会社と違っていると感じる点はある?」
取引先の会社に出入りするときや、プライベートで聞く友人の会社のことを聞いたとき、自分の会社と一緒だなと感じたり、こんなにも違うんだと驚いたりしたことは、誰にでも経験があるでしょう。
部下から見た「自社と他社の違い」を聞くことで、会社組織がどうあるべきと思っているのかなど部下の中の会社像を知ることができます。
具体例3:「会社全体に対して期待していることや、こんな展開をしてほしいといった希望はある?」
上の具体例2とセットで聞くことができる質問です。今関わっている仕事のことだけではなく長期的な視点で会社を見ることは、会社の一員としての部下の意識を高めることができます。さらに、会社の発展に貢献できるという実感をもつことができます。
具体例4:「○○○業務について、部長も褒めていたよ。どこに一番苦労した?」
上司が仕事ぶりを見てくれていることや、成果を評価してくれることは、部下にとって嬉しいことです。部下のモチベーション喚起できることも1on1ミーティングのメリットです。
成果を認められたときの部下からの反応を見ることで、部下が仕事に自信をもっているのか、自信が低下しているかなどを知ることができます。
モチベーション喚起の言葉を掛けるときは褒めるだけでなく、部下自身の発言を促す質問を続けてください。部下の発言の中にこそ、部下へのサポートの鍵は眠っています。
具体例5:「最近の仕事で上手くいったこと(力を入れたこと)は何? どうして上手くいったの(?)」
部下自身から仕事ぶりを聞くことも重要です。上手くいったことを聞くだけではなく、同時にその理由も話してもらうことがポイントです。成功や努力から何を得たのか気づかせることが成長への後押しとなります。
キャリアに関連するテーマでの質問例
キャリアについての会話は、1on1ミーティングにとって最も重要といっても過言ではありません。ここで紹介する質問例を参考に、部下の育成を促すような質問を考えてみてくださいね。
具体例6:「やりがいを感じるのはどんな仕事をしているとき?」
得意分野を自覚し、部下自らがキャリア形成を描けるようになることが目標です。人間誰しも向いていることと不向きなことがあります。向いていることをしているとき、人はイキイキとしています。上司は部下がやりがいをもって取り組める仕事を知ることで、キャリアプランの相談にも適切なフォローができるようになります。
具体例7:「今後チャレンジしていきたいことは何?」
具体的な業務のことでも、今はまだ漠然としている取り組みでもどちらでも構いません。職務に関係のないプライベートのことでもいいでしょう。直接は仕事に関係ないように見えても、自ら興味をもって挑戦していく姿勢は、必ず仕事に反映されてきます。
どんな階段を上っていきたいと考えているのか、どんな自分になりたいと思っているのかなど、将来の設計図を部下自身が話しながら具体的にしていけることが理想です。また、今どの過程にいるのか自覚できれば、次にすべきことも見えてきます。
具体例8:「5年後にはどんな社員になっていたい? 10年後は?」
目の前のことだけではなく、中長期的な理想像を描いた上で手掛けている仕事を振り返ると、今どこに力を入れるべきかが見えてきます。上司にとっても、部下が理想とするをもて考えることができます。
理想像は変化していくものなので、定期的に話題にするといいでしょう。
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詳細はこちらプライベートに関連するテーマでの質問例
お互いの信頼関係にもよりますが、プライベートに関する質問を投げかけることで、部下の性格を深く理解できたり、心身の健康状態を把握したりすることができます。
具体例9:「最近気になるニュースは何?」
どのようなニュースに興味を示しているのか聞くことは、プライベートな話題の導入に適しています。
日々更新されていくニュースの中で、何に興味をもったか話してもらうことで、部下のことを知ることができます。さらに、部下は上司に話すためにニュースを深く知るようになりますし、幅広くアンテナを張るようにもなります。
具体例10:「週末や次の連休にしたいことは何?」
休みをどう過ごすかは個人の自由です。そのため、部下が話したがらない素振りを見せたときは、話題を変えるのがいいでしょう。「リフレッシュできることが一番大切だよね。」など話題に区切りをつける声掛けをして、次の質問にいきましょう。
質問する際には、具体例のように「週末や次の連休」と、休日を限定しないで幅をもたせることがポイントです。
「前の土日は何してた?」「次の週末は何したい?」など日を限定してしまうと、部下は探られているようで身構えてしまいます。
休日の行動を話題にすることで、有給申請の相談を持ちかけられることもあるでしょう。社員がライフバランスを大切にしながら働くことのできる会社であるためには、部下が嫌がらずに休日の過ごし方を語れることです。
部下が話しやすい空気にするために、上司がどう週末を過ごしたか簡潔に語ることも重要です。
質問力を組織的に伸ばし、上司と部下の力を引き出そう
1on1ミーティングの目的は、部下自らが先を見越して自律的に行動できるようサポートすること。そのためには、聞き手の姿勢を貫きつつ気づきや促しの言葉を掛ける上司の存在が必要となります。
1on1ミーティングは上司にとっても、気づきと成長の場になります。質問を部下に投げかけるプロセスから自己を振り返り、周囲をエンパワメントできるリーダーとしてのあり方を磨いていくのです。
今回紹介した質問例も参考にしながら、組織的に質問力を伸ばしていくことをおすすめします。
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