1on1ミーティングの支援ツールには、どんな機能がある? 選び方も解説

1on1ミーティングには部下の成長を促し、モチベーションを向上させる効果があります。しかし、しっかり仕組みとして導入しないと、形ばかりの1on1ミーティングとなってしまいます。1on1ミーティングが形骸化してしまうと、望む成果が得られないばかりか、現場からの不満が高まります。やる意味が感じられないことを強制されるためです。

1on1ミーティングで成果をしっかり出すためには、1on1ミーティング支援ツールの導入が有効です。ツールをうまく活用すれば、1on1ミーティングを仕組みとして組織に根付かせられるからです。

では、1on1ミーティングの支援ツールを使うと、具体的にどのようなことができるのでしょうか? また、支援ツールはさまざまな会社が提供していますが、ツールを選ぶ上ではどのようなポイントがあるのでしょうか?

今回は、1on1ミーティングの支援ツールの機能と、ツールの選び方を徹底解説します!

1on1ミーティングをシステム化する上での3つの方法

具体的な機能の紹介の前に、そもそも1on1ミーティングをシステム化する上で、どのような手段があるのかを解説します。

エクセルの活用

最もシンプルな方法は、この「エクセルの活用」です。この方法では、普段の業務中に部下の様子をチェックするシートや、1on1ミーティング時に使う記入フォーマットをエクセルで作成し提供します。

コストをかけずに実現できますが、「進捗管理が難しい」「記録状況を管理者が閲覧しづらい」など、他の方法と比べると不便な点も多くあります。「1on1ミーティングのシステム化」を目指す上では、これより上のレベルで実現したいところです。

自社開発

1on1支援ツールを自社で開発する、という方法もあります。自社の運用にあったシステムを構築できますが、運用を変更するたびに開発コストが発生します。1on1ミーティングの運用が特殊で、市販品では実現できない場合のみ検討すると良いでしょう。

市販のアプリケーションソフトの利用

市販されている1on1用アプリケーションを購入・契約し利用する方法です。便利で豊富な機能を利用できるほか、ツールを自社で開発するよりも安く済みます。 基本的にはこの方法がオススメです。

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1on1支援ツールの代表的な14個の機能

1on1支援ツールにおける主な機能、以下14個を紹介します。

  • 機能① リマインド機能
  • 機能② カレンダー機能
  • 機能③ 面談フォーマットの作成機能
  • 機能④ 話したいことを事前チェックするアンケート機能
  • 機能⑤ 面談記録の参照機能
  • 機能⑥ 目標管理や評価システム、人事管理システムなどと連動した参照機能
  • 機能⑦ 面談内容の記録機能
  • 機能⑧ コンディションの記録機能
  • 機能⑨ 1on1ミーティングにおけるトピックの分析機能
  • 機能⑩ 実施状況のチェック機能
  • 機能⑪ 目標の進捗管理機能
  • 機能⑫ スマートフォン対応
  • 機能⑬ 権限管理機能
  • 機能⑭ 上司・部下の設定機能

なお、市販のアプリケーションソフトでは、全ての機能が実装されているわけではなく、ソフトごとに機能の有無が異なります。

さて、これらの機能で何ができるのか、利用シーンごとに詳しく見ていきましょう。

シーン① 面談前

まずは、1on1ミーティングの前に利用する機能を紹介します。1on1ミーティングを行う上での調整機能や、1on1ミーティングの前に話すトピックをすり合わせする機能などがあります。

機能① リマインド機能

1on1ミーティングの開催調整に役立つ機能です。運用にあわせて「月に1度」「2週に1度」などと、開催頻度や周期を設定します。そうすると、設定した頻度にあわせて、リマインドが届くのです。リマインドは、メールやchatworkやslackといったチャットツールで届きます。

1on1ミーティングは定期的に開催しないと効果を発揮しません。しかし、普段の業務で忙しく働く現場社員に日程調整を任せきりにすると、日程が流れてしまい運用が形骸化してしまうこともあるでしょう。定期的な1on1ミーティングの開催を促すためには、このようなリマインド機能が有効です。

機能② カレンダー機能

1on1ミーティングの予定をカレンダー形式で確認できる機能です。

これからのミーティング予定はもちろん、これまでに行った日程などもわかります。日程調整や過去の開催状況のチェックに便利な機能です。Googleカレンダーや社内スケジュール管理ツールなどと連動する1on1支援ツールもあります。

機能③ 面談フォーマットの作成機能

特に1on1ミーティングの導入初期は、上司も部下もお互い何を話していいかわからないことも多いのではないでしょうか。せっかくの貴重な時間を、当たり障りのない世間話や、果ては上司の説教、自慢話で費やしてしまうこともあるでしょう。このような場合、1on1ミーティングで話す内容を、ある程度指定することをオススメします。

ここで役に立つのが、面談フォーマットの作成機能です。管理者側があらかじめ1on1ミーティングで話してほしい話題や、面談時に利用してほしいフォーマットを作成し、上司に共有します。そして、上司は指定されたフォーマットに従い面談を行うのです。これにより、上司によってまちまちだった面談の話題を統一することができます。

時期ごとにトピックやフォーマットを変える、という運用もできるツールもあります。たとえば、

  • 目標設定を行う前の1on1ミーティングで、「次期の目標について」というトピックを設定する
  • 人事評価を行う段階で、1on1ミーティングでは「目標に対する振り返り」というトピックを設け話してもらう

といった使い方が可能です。

また、1on1支援ツールの提供会社によっては、この面談フォーマットの他社事例を紹介してくれる会社も。他社のノウハウを活用し、自社の面談フォーマットや運用を改善できます。

機能④ 話したいことを事前チェックするアンケート機能

管理者側から話題や面談フォーマットを指定するだけではなく、部下が話したいことを申告できれば、より双方向的な1on1ミーティングが実現できると思いませんか? それを実現してくれるのが、「アンケート機能」です。

部下が1on1ミーティングで話したい内容を選択したり、質問に対し記入したりすることができます。これにより上司の方も、自分の部下が事前に話したい内容を把握し、準備することが可能。つまり、より質の高い1on1ミーティングが実現できるのです。

シーン② 面談時


1on1の面談時には、医師のカルテのように、面談に役立つ情報を参照する機能が主になります。

機能⑤ 面談記録の参照機能

1on1ミーティング中に必ずチェックしたいのは、これまでの1on1ミーティングで話した内容ですよね。多くの1on1支援ツールでは、個人ごとにこれまでの面談記録を参照することができます。

上司が以前話した内容をしっかり把握し、今回の1on1ミーティングに望んでくれていることがわかれば、部下の上司への信頼度は格段と増すことでしょう。反対に、これまで話した内容を上司が忘れてしまっているようでは、部下は上司を信頼せず、質の高い1on1ミーティングにはなりません。

なお、この面談記録の参照機能においては、ユーザビリティが重要となります。1on1支援ツールの契約検討時には、ユーザーにとって使いやすいデザインかどうか、しっかり確認してくださいね。

機能⑥ 目標管理や評価システム、人事管理システムなどと連動した参照機能

1on1ミーティングで、たとえば「今季の目標」について話す際には、設定した目標などの情報を参照しながら話したいですよね。また、今後のキャリアを考える上では、これまでの経歴や入社時の志望動機、その他さまざまな人事情報を参照しながら話したほうが効率的でしょう。

1on1支援ツールの中には、目標管理システムや人事評価システム、人事管理システムなど、さまざまなシステムと連動し参照できるツールもあります。面談に使いたい情報が点在しているような場合は、このような連動機能があるツールを探してみると良いでしょう。

シーン③ 面談後

面談後に利用するのは、1on1ミーティングの記録機能です。

機能⑦ 面談内容の記録機能

面談の内容を記録する機能です。面談内容をテキスト形式で記入したり、チェックボックス形式などで内容を選択したりすることができます。

これは機能③の「面談フォーマットの作成機能」や、機能⑤の「面談記録の参照機能」とセットになっていることが一般的です。

機能⑧ コンディションの記録機能

やる気や顔色など、文章では管理しづらい部下の印象やコンディションを記録できる機能がある場合も。

これは上司か部下のどちらか、もしくはどちらも入力することができます。上司と部下との間で、コンディション認識のギャップを浮き彫りにしたり、今後の継続的な面談の参考にしたりすることが可能です。

シーン④ マネジメント

ここで紹介するのは、上司や人事担当者が実施状況をチェックし、面談内容を分析するための機能です。よりよい1on1ミーティングの運用を行うための改善に利用できます。

機能⑨ 1on1ミーティングにおけるトピックの分析機能

これは、面談記録はもちろん、1on1ミーティングでどのようなトピックが話されたかをカウントし、グラフ形式などで表示してくれる機能です。

たとえば「これまでの1on1ミーティングで、どれだけの回数、今季の目標について話されたか」といったように、回数を定量的に把握したいときもありますよね。このような情報が欲しい場合は、話題をテキストベースで記録する機能だけでは不十分です。なぜなら、この場合、あるトピックについて話されたかどうかをカウントするためには、管理者側がテキストをしっかり読み一つ一つカウントしなければいけないからです。

機能⑦の「面談内容の記録機能」で紹介したように、1on1支援ツールの中には、チェックボックスなどの形式で1on1ミーティングの内容を記録できるものがあります。そしてチェックボックス形式の場合は、システムとして回数のカウントがしやすいため、「ある話題について話された回数をグラフにして表示する」機能を有していることも。

「次の期の目標」「会社の方向性」「働く環境」「キャリアパス」「良かったこと」など、トピックについて話された回数をカウントしたい場合は、それに対応した1on1支援ツールを選定しましょう。

機能⑩ 実施状況のチェック機能

予定した頻度で1on1ミーティングを開催できているか、実施状況や進捗はどうかなどを、管理者側からチェックできる機能です。

先にも述べましたが、効果的な1on1ミーティングには、定期的な開催が必要不可欠。制度を運営する立場としては、開催頻度や実施率など、実施状況をしっかりチェックしたいですよね。

この機能を使い、開催頻度や実施率が低い人や部署をピンポイントに当たることで、状況を改善することも可能でしょう。1on1ミーティングの運用を組織に定着させるために、とても便利な機能ですよ。

機能⑪ 目標の進捗管理機能

1on1ミーティングの導入により期待できる大きな成果の一つには、「目標進捗率の改善」が挙げられます。個人の目標達成率が上がり、それが積み重ねれば、組織に大きなメリットをもたらすことでしょう。

1on1ミーティングの支援ツールの中には、目標管理システムと連動・もしくは一体化し、目標の進捗管理を行えるものもあります。

目標の公開範囲の設定ができますので、「自分が立てた目標を同僚や部下には見られたくない」といった場合にも対応可能です。また、「達成目標(Objectives)」とそれに連動する「主要な成果(Key Results)」を設定し、進捗状況を都度管理する「OKR」にも対応するなど、さまざまな目標管理フォーマットにも対応しているツールもあります。

シーン⑤ その他(システム管理など)

1on1支援ツール全般に関する設定を行うための機能もあります。

機能⑫ スマートフォン対応

事前アンケートや面談時の情報参照などをスムーズに行う上で、1on1支援ツールがスマートフォンに対応していると便利です。

移動の合間に次の1on1ミーティングの準備をしたり、通知をスマートフォンで受け取ったりなどができるため、組織に1on1の文化をしっかり根付かせる上で役に立ちますよ。

機能⑬ 権限管理機能

1on1ミーティングで話す内容は、ときにはプライベートな内容に及ぶことも。上司を信頼しているからこそ話せることも多いはずです。そしてそのような内容は、同僚や他部署の人など、多くの人には知られたくないですよね。

また、人事部門の中でも、面談の情報を閲覧する必要のない人には、情報を公開しない方が無難です。

このように、閲覧権限の設定も、1on1支援ツールの運用において重要な機能です。

機能⑭ 上司・部下の設定機能

1on1ミーティングを行う上司・部下の紐付けを行う機能です。実装の仕方は支援ツールによって異なります。

1on1支援ツールを選ぶ5つのポイント


ここまで、1on1支援ツールが有する機能を紹介しました。しかし、実装の仕方やそれぞれの機能の有無は、アプリケーションの開発会社によって異なります。

また、これらの機能は、あなたの会社の運用にあわせてしっかりと活用されなければ意味がありません。全ての機能を有しているからといっても、使いづらかったりあなたの会社の運用とあわなかったりすれば、無用の長物でしかないのです。

ここからは、1on1支援ツールを選ぶ上での、5つのポイントを紹介します。

ポイント① 過不足のなさ

前述のように、機能が豊富だからシステムとして優れている、というわけではありません。機能数が豊富な分、費用としても高くつく場合だってあります。あなたの会社の運用において、できるだけ機能に過不足のない1on1支援ツールを選ぶようにしましょう。

ポイント② 設定や管理のしやすさ

検討がおろそかになりがちな領域としては、この「設定や管理のしやすさ」が挙げられます。システム検討時には機能の有無のみにフォーカスしてしまい、具体的な設定方法まで考慮されないことがあるからです。

あなたの会社の組織構造にもよりますが、カンタンな条件設定だけ行えば一括で設定できるのか、それとも極端な話、1人1人設定しなければいけないのか、それによってシステムの管理効率が大きく変わります。

たとえば閲覧権限の設定や、1on1ミーティングを行う上司・部下の設定など、システム管理者が行う設定や管理のやりやすさは、しっかり確認しておくことをオススメしますよ。

ポイント③ コンサルティングサービスの充実度もチェック

特に1on1ミーティングを初めて組織に導入する場合は、システムの使い方ではなく、そもそもの運用方法や改善などの相談をしたいものですよね。

そのような方には、あわせてコンサルティングサービスも提供してくれるところがオススメです。どのようなコンサルティングサービスがあるか、その内容も事前にチェックしましょう。

ポイント④ ユーザーコミュニティにも注目

また、1on1の実践において、特に気になるのは他社の運用ですよね。ですが、企業の根幹に関わる情報でもありますので、情報はそれほど公開されていないものです。

こんなときに役に立つのは、1on1支援ツールのユーザーコミュニティです。会員同士で情報交換をすることで、他社の取り組みや運用を参考にしながら自社の運用を改善できます。1on1支援ツールの選定時には、ユーザーコミュニティの有無やその充実度もチェックすると良いでしょう。

ポイント⑤ ツールのみならず研修と組み合わせているところもオススメ

1on1ミーティングを導入する上では、1on1支援ツールの使い方のみならず、そもそも1on1の意義を社員が理解する必要があります。また、特に上司の方は、1on1ミーティングの方法やスキルを学習しなければなりません。

1on1支援ツールを販売する企業によっては、このような研修プログラムを提供してくれる会社もあります。ツールとあわせて研修プログラムもお願いすれば、スムーズな導入が期待できますよ。

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システム化して1on1を定着させよう

システムとは、「仕組み」のこと。つまり、1on1ミーティングのシステムを利用することは、1on1ミーティングを仕組みとして組織に導入することを意味するのです。

1on1ミーティングの文化を組織に根付かせる上で、1on1支援ツールはあなたの力強い味方となってくれるはずですよ。

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